城島氏が語るソフトバンク「最大の課題」 乗り越えるため批判覚悟の挑戦

西日本スポーツ 久保 安秀

【ソフトバンク城島アドバイザー 新春インタビュー(前編)】

 福岡ソフトバンクの城島健司球団会長付特別アドバイザー(44)が西日本スポーツの単独インタビューに応じた。

 昨季15年ぶりに古巣ホークスへ復帰。4年連続日本一の「最大の功労者」を挙げるとともにチームの「最大の課題」を述べ、克服するための批判覚悟の挑戦を明かした。(聞き手・構成=久保安秀)

   ◇   ◇   ◇

 -球団会長付特別アドバイザーとして昨年、球団に復帰した。いろいろな意味で濃い1年になった

 環境が大きく変わった。自分の中では大きな一歩。今までとは野球界との関わり方が変わった年。その年にコロナ禍に見舞われて、野球界も開幕が遅れたり、無観客で開催されたり、新しいスタイルに向き合うシーズンになった。この話を頂いた時には想像できないようなことばかりだった。

 -改めてファンとの関わり方を知るシーズンになった

 ファンが(客席に)入らないというのは、球団としての営業面はもちろん、選手も声援がもらえなかったりと、悪いこと、大変なことの方が多かった。客観的に見ても、今のホークスはたくさんお客さんが入って、たくさん声援をもらって、たくさん報道してもらってというのが当たり前。

 それが改めて選手の口から「やっぱりお客さんが入ってモチベーションが上がった」とか「プレーするギアが一段上がった」というのを聞くと、ファンの大切さ、ファンとの距離、福岡の素晴らしさというのを選手が感じてくれたんだと思えた。これまで以上にファンへのサービスや地域への還元を積極的にやってくれる。それはコロナによって気付かされたこと。

 -ファンが観客が入ってからの変化は

 お客さんが入ってからホークスのギアが上がった。王会長も話しておられましたが、無観客の試合とは明らかに違いました。公式戦という実感も湧いたろうし、声援っていいなと思った。それから本来の戦い方になっていった。途中追い付かれそうになったけど、最後はあれだけゲーム差を離して勝った。

 -10月の12連勝を含め、ラストスパートは見事だった

 (例年はシーズン終盤の)9月に勝つのが一番難しいんですよ。どのチームも打倒ホークスで止めにきているんですから。それをあれだけ勝った。確固たる実力ですよ。

 -強さの源は

 ホークスの1軍の選手だけで残した成績じゃない。2月にも話したと思いますが、優勝する、勝ち続けるには選手はもちろん、スタッフ、フロントを含めて全員の力が必要なんです。スカウティングだったり、厚い選手層やその選手を束ねる指導者の力、選手のコンディションを上げていくトレーナーの力、トレーニングコーチの力、全ての力が勝ったチーム力だと思うんですよ。

 -また新しいシーズンが始まる。次はV5、その先に期待がかかる

 日本シリーズを勝つのは簡単なことじゃないんですが、やっぱり一番の目標はリーグ制覇。18、19年も日本一になってますけど、西武にリーグ連覇された。これは本来のチームの目標とは違う。シーズンを1位で駆け抜けるのが目標なんで、その点で言えば20年が新たなスタートでしょう。

 -原動力は投手力。救援陣を含め、12球団でも力が抜けている

 スカウティング、育成も大事なんですけど。今のこのチームの最大の功労者は工藤さんじゃないですか。ピッチャーで言うとね。ピッチングのマニュアルというか、トレーニング方法、コンディショニング、技術の部分に力を注いだ。

 工藤さんがピッチャーの出身の監督で、巡回コーチに倉野さんを就けてきちんと1、2、3軍の育成システムをしっかりつくったことが最大の武器になってシーズンを戦っている。次は、その「野手版」を作るのがチームとしての最大の課題になる。

 -野手版のシステムづくりを担う存在が必要だ

 それを僕らが力を手伝っていくというか、これから力を入れていく部分。自分は現場ではなくフロント側でね。今季から小久保さんが現場に入るんで、その点では自分と小久保さんが力を合わせて。(投手の育成システムで)成功した監督、工藤さんがいるんで。野手版をつくるのが理想。

 -ホークスのレジェンド2人で力を合わせる

 今年はもうちょっと(ホークスに)踏み込むというか、仕事は増える。よりチームに関わることになる

 -肩書も変わる?

 会長付特別アドバイザーより大きな肩書はないです(笑)。だからその役を受けたんで。

 -具体的には

 ちょっと野球界から離れてましたんで。まずは今年ドラフトで入った選手がどういう活躍をするかという答えを見たい。ホークスがチェックして獲得したかったけど(ドラフトで)取れなかった選手、よその球団に行った選手がどういう活躍をするか、どれぐらいの成績を残すかがベースになってくる。

 -フロント、現場とも難しい使命に挑戦する

 簡単ではないですけど、それが一番の課題というか、それをやろうとしていること。コロンブスの卵と一緒で、これを立ててみろって言われてもできないですけど、やってみたら、ことが動きだしたら「ああ、そういうことか」と、みんな賛同して、良い方向に向かっていく。最初に何かすることにはみんな否定的。でも誰かやらないと変わらないんで。若い力とは言わないですけど、自分と小久保さんがね。

 自分がフロント側にいて、現場に小久保さんがいてくれることで、野手についてはコミュニケーションとれますし、潤滑にいい方向にいくと信じてますし、そこに波風が立ったり、批判されたりすることも当然想定している。それは当たり前のこと。新しいことをやるんですから。波風が立たないと意味がない。だって今までと違うことがやりたいんですから。

 -情熱が必要だ

 70歳だったらやりたくないけど、45歳なら若さでチャレンジできる(笑)。ホークスはいい時に、大きな変化に挑戦できるんですよ。王さんがよく話しておられたけど「いい変化をしなさい」って。三冠王を取った次の年に「よし、もっとホームランを増やそう、もっと率を上げようって、どうしたらいいかって。いい方向にしかか考えられなかった」って。ダメだったら三冠王の時に戻せばいいんだから。

 その話を聞いた時、ピンと来なかったけど(笑)。三冠王を取った人でも、もっといいようにと思って求めていた。その王さんの言う「いい変化」が今のホークスに当てはまる。最高のシーズンを送った。いい選手もたくさんいるし、脂ののってきた選手も多いからこそ「いい変化」をね。

 そんな現場、チームの熱い思いに心を打たれたというか、自分が何か手伝えるならやりたいという思いでね。だから小久保さんともしっかりコミュニケーションを取っていきたい。

 -野手の育成が進めば、さらに強くなる

 野球はね、ピッチャーなんですよ。でも、毎日試合に出ているのは野手。子どもが、ファンが試合に行って毎日見られるのは、野手なんですよ。ピッチャー投げない時があるから。その点では、福岡の子どもたち、ファンが「ああ見たいな」とか「このバッターまで見てお風呂入ろう」とか思える選手を一人でも増やそうと。それは球団の宝ですから。

 でもホークスには十分、魅力的な選手はいるんですけどね。いい悩みというか。もっともっと一人でも多くね。チームもフロントも上しか見てないというか。そういうときはいい結果が出るもんですよ。(後編は3日に公開予定)

 ◆城島健司(じょうじま・けんじ)1976年6月8日生まれ。長崎県佐世保市出身。大分・別府大付(現明豊)高からドラフト1位で95年に福岡ダイエー(現福岡ソフトバンク)入団。2003年最優秀選手(MVP)。06年から米大リーグのマリナーズでプレー。10年に阪神入りし、12年限りで引退した。日本代表では09年WBCで優勝。日米通算成績は1837安打、292本塁打、1006打点、打率2割8分9厘。昨年、福岡ソフトバンクの球団会長付特別アドバイザーに就任した。

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ