お菓子に手を出すな、野菜中心に! 見放されかかった激太りの東福岡エース 卒業後は…

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子決勝 東福岡3-1駿台学園(東京) (10日・東京体育館)

 バレーボールの全日本高校選手権(春高バレー)は10日、東京体育館で男女の決勝があり、男子は東福岡が前回準優勝の駿台学園(東京)を3-1で破って連覇を達成した2015年度以来、5大会ぶり3度目の優勝を飾った。注目のエース、柳北悠李(3年)が両チーム最多の39得点を挙げ、最優秀選手(MVP)に輝いた。無観客で開催するなど新型コロナウイルスの影響を受けた異例の大会で、「ヒガシのキータ」が日本一の称号を手にした。

 第4セット、マッチポイントを握った東福岡の思いは全員一緒だった。エースの柳北にトスが集まる。「最後は自分で決めて日本一を取る」。フルスイングで打ち込んだバックアタックが相手レシーブをはじき飛ばすと、両拳を握りしめて雄たけびを上げた。

 「ずっと迷惑をかけた分、みんなに信頼されるようしっかりして、日本一のエースになろうと思ってプレーした」

 無観客の東京体育館で、何度も豪快なスパイク音を響かせ、両チーム最多の39得点。身長192センチ、最高到達点345センチを誇る高さにパワーも兼ね備え、高校1年時にはU-18(18歳以下)日本代表入りした逸材を支え続けたのは、試合に出ていない3年生4人だった。

 主将の川波虎太郎(3年)は、1年時の天皇杯、Vリーグ1部豊田合成戦で柳北が社会人相手にスパイクを決め続けた姿が忘れられない。「自分たちの代で日本一になるには、こいつの力が必要。絶対に日本一のエースにする」と決意した瞬間だった。

 肝心の本人は適正体重の89キロを維持できず、体調管理に苦戦した。新型コロナウイルス感染拡大による休校措置明けには、体重102キロで現れ「最初はなんやこいつと思った。ただ、もうやるしかない」と川波。泣きながら3年生同士でミーティングを行った。

 それからは3年生が朝、昼食前、練習後と柳北のランニングに付き合い、お菓子に手を出しそうな時は注意した。柳北を今後も支え続けるのか-。3年生の間で意見が割れる時もあったが、「日本一」を合言葉に一つになった。今大会直前には、川波の家に柳北が泊まり込み、野菜中心の食事でコンディション調整に努めた。

 3年生の献身を柳北自身も痛感している。「最後はチームや周りの人に頼られるようなエースになろうと思っていた」。前回大会準々決勝で敗れ、今大会でも準々決勝で対戦の可能性があった前回の覇者、東山(京都)が、選手の1人が発熱したため3回戦を棄権するなど異例の大会にも動じなかった。

 エースが決めた最後の1点に、川波は涙を浮かべる。「ここまでやってきてよかった。日本一のエースです」。厳しい指導を続けてきた藤元聡一監督も「きょうだけは褒めてあげたい」と目を細めた。卒業後は東亜大で競技を続ける。名前が似ているプロ野球福岡ソフトバンク柳田悠岐ばりのスケールの大きさが持ち味。春高で大きな飛躍を遂げた「ヒガシのキータ」の限界はまだまだ先だ。 (伊藤瀬里加)

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