無観客の春高バレー、客席に亡き父の応援を感じて 監督も驚いた変身

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

【記者コラム】

 バレーボールの全日本高校選手権(春高バレー)の男子は、東福岡の5大会ぶり3度目の優勝で10日に幕を閉じた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客だった今大会。観客席からの大歓声や「春高名物」のブラスバンドの応援はなく、スパイク音や選手たちの声だけが響き渡った。そんな例年より静かな体育館で“後押し”を感じていた選手がいた。

 東福岡のレシーバー古賀友哉(2年)は大会直前、天国の父の墓前にこんな言葉をかけた。「必ず日本一になって帰ってくる。無観客で、お父さんだけしか見に来ることができないから、しっかり見ていてね」

 古賀の父、雄一さんは昨年8月に熱中症で倒れ、そのまま帰らぬ人となった。バレーボール経験はないが「(周りに)声をかけろ」などと助言してくれた。「仕事がない時はどんなに遠い会場でも駆けつけてくれました」と支えに感謝する。

 父との別れを終え、チームに戻ってきた古賀の変化に藤元聡一監督は驚いた。もともとはリベロで、今大会でベストリベロ賞を獲得した井上琉聖(2年)よりも早く出場機会を得ていた実力の持ち主。だが、緊張しがちな性格で、本番では十分なパフォーマンスが出せずにいた。それが「堂々として力を発揮するようになった」という。

 今大会は「リベロの控えではもったいない」と、レフト坪谷悠翔(同)が後衛に回る際に送り出された。「(柳北)悠李さんという絶対的エースに決めてもらうため、ボールを絶対に落とさないことと、チームの雰囲気を上げることを意識した」。好レシーブで東福岡をもり立てた古賀は、無人の観客席に、いつも父の応援を感じながらプレーしていたという。

 2020年度唯一の全国大会を終え、新チームがスタートする。「もっと貢献できる選手になって、来年またここに帰ってきて日本一になりたい」。どんなときでも、どんな場所でも、雄一さんは近くで見守ってくれているだろう。(伊藤瀬里加)

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