高校通算50発、鷹のドラ1井上朋也 中2で衝撃の「怪力」エピソード

西日本スポーツ 長浜 幸治

【シリーズ】ソフトバンク2021ルーキー紹介

 昨季は3年ぶりのリーグ優勝と4年連続日本一を成し遂げた福岡ソフトバンク。巨人の「V9」を超える「V10」を目指す常勝軍団は、昨秋のドラフト会議で5人の高校生を支配下で指名した。次代を担うことが期待される5人のルーキーの歩みや横顔などを記した「V10のヒーローへ」―。第1回は高校通算50本塁打を誇る1位の井上朋也内野手(17)=埼玉・花咲徳栄高=を取り上げる。(文中敬称略)

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 2003年1月28日、大阪府四條畷市の井上家に待望の長男が誕生した。体重3282グラムの元気な男の子は朋也と命名された。「上の2人が娘だったので、やっぱりうれしかったですね」。父昌幸(52)は懐かしそうに当時を振り返る。

 小学2年で少年軟式野球チーム「畷ファイターズ」に入団。当時は空手と習字も習っており、どれも全力投球した。空手は小学校高学年で黒帯を取得。それでも、自分から「やりたい」と言って始めた野球は特別だった。「俺には野球しかないんや」。当時も今も変わらない口癖だ。

 小学校卒業時に身長163センチだった体には無限のパワーを秘めていた。中学2年時、柔道経験者で179センチ、85キロの父に腕相撲で勝った。「息子は跳び上がって喜んでいました。腕力には自信があったんですが」。高校通算50本塁打の将来を予感させる出来事だ。

 中学時代は硬式クラブチーム「生駒ボーイズ」でプレー。日課は練習後のランニングだった。坂の多い自宅周辺を1時間半ほど走り、家に戻るのは日付が変わる直前。父は「家でも時間があればバットを振っていました。コツコツとやるタイプです」と口にする。

 17年夏の甲子園を制した花咲徳栄高には本人の意思で進学。母弥生(54)は「『夢をかなえられる高校に行っておいで』と言いました」と明かす。遠い埼玉でも瞬く間に頭角を現し、1年生で甲子園の土を踏んだ18年夏は鳴門(徳島)との1回戦で3安打の活躍。19年夏は4番として甲子園で安打を放った。

 学校のグラウンドでの打撃練習では、ホームから98メートルの左翼フェンスの奥に設置された高さ10メートルの防球ネットを軽々と越える打球を連発。高校通算58本塁打の強打の持ち主で、19年にドラフト2位で日本ハムに入団した2学年上の野村佑希とは「防球ネット越え」の数を競い合った。

 成長の裏には母の献身もあった。寮生活を送る息子の様子を見に、週に1度は大阪から埼玉まで約7時間かけて車で通った。2年生になるころには学校の近くに部屋を借り、すぐ近くで見守った。「姉が2人いるのに、両親はずっと自分のために時間を使ってくれた。活躍することが一番の恩返し」。感謝を胸にプロでの飛躍を誓った。(長浜幸治)

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