「私をガッカリさせないでくれ!」王会長が鷹ナインに訴えかけたこと

西日本スポーツ 石田 泰隆

タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆ソフトバンク春季キャンプ(1日、宮崎・生目の杜運動公園)

 待ちに待った2月1日。今年も例年通り、12球団が一斉にキャンプインした。この日は初日ということもあってか、久々に見たユニホーム姿の選手の動きがいつも以上に軽快に映った。

 例年と違うのは無観客でのキャンプインとなったことだ。コロナ禍を考えると、仕方ないのだろう。むしろ、この状況でもキャンプインを迎えられたことに感謝するだけだ。

 とはいえ、寂しいものは寂しい。ファンあってのプロ野球だ。例年は平日でもファンでにぎわうキャンプ地に活気がないと、取材するこちらの調子も狂う。選手も同じではなかろうか。

 そんなことを考えながら施設内を歩いていると、王球団会長に出くわした。並んで歩きながらの「ぶら下がり取材禁止」などの制限があるとはいえ、あいさつなしに通り過ぎることなどできるわけもなく、社会的距離を保ったまま「今年もよろしくお願いします」と頭を下げた。

 すると、王会長は歩みを止め、「今年は大変だね。去年のキャンプ時期はまだ普通にできてたのに」と、収束しない新型ウイルスをうらんだ。さらに無観客スタートとなったキャンプについて「人の目があると見られているという緊張感の中でできる。それが大きいんだけど、今年はそれがないからね」と嘆き、寂しそうな表情を浮かべた。

 ただ、胸の中は誰よりも熱くたぎっている。キャンプイン前日の1月31日。チームより早い便で宮崎入りし、県内の日南市にある故恭子夫人の実家の墓参りを済ませた王会長は、夕方の全体ミーティングで「締め」のあいさつに立ち、熱弁を振るったそうだ。

 「4連覇はもう過去のこと。今年をどう戦うかがわれわれに課されたテーマだ。心一つにして戦おう。その気になれば道は開ける」

 約5分にも及んだ“王ゲキ”に誰もが背筋を伸ばしたことだろう。そして最後はこう締められたという。

 「グラウンドで戦える君たちが本当にうらやましい! うらやましがっている私をガッカリさせないでくれ! 2021年をいい年にしよう!」

 5月で81歳となる王会長にこんなゲキを飛ばされては、選手はもう、やるしかない。 (石田泰隆)

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