工藤監督も注目の数字から見える、ソフトバンクの強みと課題とは?

西日本スポーツ 森 淳

 コロナ禍に伴い、無観客でスタートしたプロ野球12球団の春季キャンプ。福岡ソフトバンクの工藤監督が掲げた今季テーマは「率」の向上で、米国流のデータ分析手法「セイバーメトリクス」によってチームの長所、課題が見えたと語っている。5年連続日本一を目指す指揮官が見たものは何か? セイバーメトリクスを得意とするDELTA(デルタ)と、ソフトバンクというチームを考えた。(聞き手・構成=森 淳)

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 工藤監督は「シーズン後にセイバーメトリクスを見て、ホークスが抜けている部分や、他球団に比べてできていない部分、劣っている部分が見えてきた」と言っている。デルタのアナリスト大南淳氏から見たソフトバンクとは。

 「野球の得点は大まかに出塁力と長打力の掛け算で決まります。ソフトバンクは毎年長打力が高い一方、出塁率は(最高出塁率のタイトルを4度獲得した)柳田を擁しているにもかかわらず、2年連続リーグ平均を下回っています」

 まず長打力。昨季126本塁打はパ・リーグ最多。続く楽天の112本に大きな差をつけた。

 「単にパワーがあるだけでなく、昨季のゴロ率(※)が44・2%と12球団でも最も低く、打球に角度をつけられる選手を多く起用する、あるいはそういう方向に打者を育成する方針があるのかもしれません。なお昨季のパ・リーグ平均は45・8%で、最も高かったのは楽天の47・9%でした」

 ※ゴロ率(GB%)=ゴロ打球÷(ゴロ打球+ライナー打球+フライ打球数)。ファウルは除くが、ファウルフライで捕球されたものはフライ打球に含む

 持ち前の長打力で昨季531得点を挙げたが、リーグトップは楽天で557得点だった。

 「楽天に得点力で劣ったのは、出塁力の部分からでした。やはり四球に課題があります。四球割合(※)は2018年以降、毎年平均を下回っており、昨季はリーグワースト2位でした」

 ※四球割合(BB%)=四球÷打席

 中村晃がチームとしての課題に出塁率を挙げ、契約更改で球団により評価するよう求めたのも、こうした現状からと言える。昨季の四球割合はソフトバンク8・9%、楽天10・2%と確かに差があった。楽天のさらに上がロッテ。四球の多さが話題にもなった。

 「ソフトバンクの特徴として、積極的にスイングする打者が多い点が挙げられると思います。スイング率(※)は20年がリーグ2位の45・6%の高さ、19年は48・4%でダントツでした。ロッテは逆の傾向で、最もスイング率が低く43・1%でした」

 ※スイング率(Swing%)=スイング数÷全投球

 積極的に振っていけば、やはり四球は取りづらくなるだろうか。

 「個別の打者で言えば、積極的にスイングしても四球がとれる打者はいますが、全体的な傾向はそうなると言っていいと思います」

 工藤監督は投手に関しても与四球率や奪三振率といった指標を挙げている。

 「セイバーメトリクスの観点で言うと、打球が発生したとき、安打になるかアウトになるかは、守備や運の影響が大きいと考えます。そのため、投手が自力でアウトが取れる奪三振能力が重要と考えられています。逆に与四球は無条件で走者を出してしまうので、良くないのは想像できるかと思います。この二つは投手の基本的な能力を示す指標と考えられています」

 「打」と同様、ソフトバンクには「投」にもはっきりとした傾向があった。

 「シンプルに奪三振能力は群を抜いていますが、与四球割合(※)はリーグ下位です。やや制球に難がありながらも、球に力のある投手を起用しているがゆえに、高い奪三振能力の代償として数字に表れてしまっている感はあります」

 ※与四球割合(BB%)=四球÷対戦打者

 こうした傾向は特徴、チームカラーとも言える。長所と短所は表裏一体。工藤監督ら首脳陣はどう改善を図っていくか。セイバーメトリクスの各指標を眺めながら考えるのも一興だ。

 ◆各種データはデルタの運営するプロ野球データサイト「1.02 Essense of Baseball」で。https://1point02.jp/

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