競歩五輪代表藤井、7連覇狙う女王引き離し初優勝 勝因は終盤に乱れない歩型 日本選手権20キロ競歩

西日本スポーツ 末継 智章

 ◆陸上日本選手権20キロ競歩(21日、神戸市)

 女王交代! 陸上の日本選手権20キロ競歩は21日、神戸市六甲アイランド甲南大周辺コースで行われ、女子は東京五輪代表の藤井菜々子(エディオン)=福岡県那珂川市出身=が1時間30分45秒で初優勝した。同じ東京五輪代表の岡田久美子(ビックカメラ)とマッチレースとなり、15キロすぎに藤井がペースアップ。7連覇を狙った岡田に1分6秒差をつけて完勝し、約5カ月後に開幕する五輪へ弾みをつけた。

 残り5キロを切り、岡田の背後に付いていた藤井が仕掛けた。「細かいレースプランは立てていなかったけど、ここだと判断した」。15~16キロは直前の1キロより20秒以上も速い、4分21秒にペースアップ。今まで何度も追いながら抜けなかった岡田を一気に引き離した。女王の連覇を止めた圧勝劇に「素直にうれしい」と右拳を突き上げた。

 最後に直接対決した2019年秋の世界選手権(ドーハ)で岡田が6位、藤井は7位。残り5キロでペースを上げた上位陣に食らいつけず歩型が乱れた悔しさから、終盤での歩型の安定感を課題にしてきた。

 今回は最後まで歩型は乱れず、残り5キロは1キロ4分30秒以内のラップを維持。「最後まで肩も上がらず楽に動けた。後半5キロの内容は今までのレースと比べて成長した」と手応え十分の完勝に、日本陸連の今村文男コーチは「新しいヒロインが誕生した」と絶賛した。

 五輪の1年延期が藤井を進化させた。昨年3月に五輪代表を決めた直後の延期には「モチベーションが落ちた」。指導する小坂忠広コーチは、19年まで続いたこれまでの過密スケジュールを憂慮し「まずは心を休めよう。自分と向き合い、基礎をつけることも大切だ」と練習強度を落とした。

 緊急事態宣言による約2カ月間の自粛生活が明けた昨年6月からは歩き込みや体幹トレーニングに重点を置き、疲れたときに足を蹴り上げて体が上下にぶれないよう腰を回転させながら歩くフォームづくりに力を入れた。

 負担をかけないようにスピードを強化するポイント練習の頻度は減らし、1キロ当たりのラップも世界選手権前より約10秒遅い4分30秒~4分35秒に設定。前日会見でも自身の出来を8割程度と説明していただけに、藤井は「最後の5キロを1キロ4分30秒以内に抑えられたのはうれしい想定外」と驚きを隠せなかった。

 2月ながらゴール時に気温19度を超え「ドーハを思い出した」という暑さへの強さも見せつけた。本番まで残り約5カ月もあり、伸び盛りの21歳は目標を入賞から少し上方修正した。「メダルにも挑戦し、確実に上位入賞。国際大会でメダルの常連になれるようになりたい」。ひと足早く常連になっている日本男子に負けじと「新女王」が女子競歩界をけん引する。 (末継智章)

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