スカウトも衝撃受けた絶品守備 鷹のドラ4を育てた現代版・巨人の星

西日本スポーツ 長浜 幸治

【シリーズ】ソフトバンク2021ルーキー紹介

 巨人を超える「V10」を目指すホークスの次代を担う新人5人の歩みや横顔などを紹介する「V10のヒーローへ」。第4回は堅実な守備力が持ち味のドラフト4位、川原田純平内野手(18)=青森山田高=を取り上げる。幼稚園から野球を続けて「遊撃手一筋」で成長してきた18歳がプロ入りした背景には、現代版「巨人の星」とも言うべき父の熱血指導を受けた幼少時代があった。(文中敬称略)

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 守備で生きていける-。青森山田高の川原田を追い続けたチーフスカウト補佐の作山和英は、卓越したグラブさばきを一目見て衝撃を隠せなかった。

 「まるで社会人選手を見ているようだった。同世代の高校生では文句なしにナンバーワン。守備は一日にしてならず。地道な積み重ねが素地になっている」

 ベテランスカウトの目をくぎ付けにした下地は幼少期に培われた。「まだ18年しか生きていないけど、小学生時代が一番きつかった。あの頃には戻りたくない」。小学校から家に戻ると、すぐさまバットとグラブを手に自宅近くのグラウンドへ。2歳上の兄太一とともに、父肇(52)のノックを日が暮れるまで受け続けるのが日課だった。

 雨が降っても休みはない。肇が5代目社長を務める石材店のオフィスの一角に設置された打撃用ネットに向け、黙々とティーバッティングを重ねた。小学3年になると、週末に学校で開かれていた親子レクリエーションへの参加も禁じられた。肇は笑って振り返る。「スパルタ? まあ確かに厳しかったでしょうね。とにかく野球だけ」。過酷な日々が川原田の原点だ。

 少しでも体を大きくするため、食卓には食べきれないほどの食事が並んだ。箸が止まると「腹を減らせてこい」と素振りもさせられた。泣きながら練習したこともあった小学生の日々は「思い出したくもない」と振り返る。一方で、厳しく向き合ってくれた父と積み重ねた日々があったから、プロ野球選手の道が開けたと実感する。

 「本当に感謝しかない。プロになれたのも7、8割は父さんの力だと思っている」

「野球一家」の希望

 中学3年間は地元の硬式クラブチーム「花巻リトルシニア」でプレーし、強豪の青森山田高に進学。小・中・高と遊撃を守ってきた川原田を作山はこう評する。「高校でショートをやっていても、プロで守れるのはごくわずか。高校生であの守備力は1年に1人いるかいないか」。そして続ける。「『令和の牛若丸』と呼ばれるくらい、守備で飯が食える選手になってほしい」。阪神の名遊撃手として活躍した吉田義男を挙げ、大きな期待を寄せた。

 野球経験者の肇、太一だけでなく、5歳下の妹の小夏も女子の硬式野球チームで白球を追いかける「野球一家」だ。国立大に通う太一はコロナ禍で野球への情熱が折れ、ボールを置いた。「『俺の分まで頑張ってくれ』と言われた。家族の思いも分かっている。絶対に活躍する」。身長170センチの小柄な体には大きな決意が詰まっている。(長浜幸治)

 (随時掲載)

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