頂点のち引退覚悟 ソフトバンク岩崎の決意「今年で終わってもいい」

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 2021年春季キャンプの「キーマンに聞く」。第4弾はセットアッパー候補の岩崎翔投手(31)を直撃した。2017年には球団記録の72試合に登板して最優秀中継ぎ投手に輝き、昨季は右肘手術後最多となる17試合に投げた。完全復帰を期す今季はセットアッパー返り咲きへの覚悟を決め、トレーニングに励む。クローザーへの気概も胸に秘める右腕に、プロ14年目への思いを聞いた。 (聞き手・構成=鎌田真一郎)

新フォーム模索中

 -春季キャンプも終盤だ。20日は紅白戦に初登板して1イニングを三者凡退。仕上がりはどうか。

 「まだ自分に合うものを探している段階。実戦の中でも探しているものが見つかればと思ったが(紅白戦は)7球で終わってしまった。工藤監督から言われているように、下半身主導で投げられるようなフォームを意識しながら、より良いものを求めています」

 -20歳代のころとはシーズンの迎え方も変わった。

 「手術も3回し、肘の状態も違う。若い頃は2月のキャンプインからアピールが必要な立場だったので最初から飛ばしていた。今はオープン戦までに(状態を)上げていくイメージ。でも余裕を持ちすぎても良くないし、オープン戦でアピールしないことには1軍に残れない。結果が出ないと、1軍で抑えられる自信も出てこないですから」

 -1球ごとにフォームを変えながら、投げていると言っていたが。

 「キャッチボールでも、1球ごとに変えながら投げている。見ている人には分からないかもしれないけれど、自分の中での意識は違う。その中で『これだ!』というものがはまれば、いい感覚が出てくるタイプなので」

 -昨季は悔しさも喜びも味わった。

 「二度とあんな思いをしたくないというのは、今でも大きいです。でも、最後の2カ月は本当に良い感覚があった。よりレベルアップするため昨年12月、今年1月で体を鍛え、それを野球の技術につなげるために今は必死。何のスポーツでも同じですが、今よりもうまくなるために試行錯誤している、という感じです」

 -オフの契約更改では「引退も覚悟した」と話した。野球観は変わったのか。

 「もう、ゆっくりしてはいられない。あとどれぐらい現役でいられるかも分からない状況にもなってきた。『今年駄目なら』というより『今年で終わってもいい』という方が近い感覚。それぐらいの覚悟を持って、まずは悔いだけは残さないように、とにかく必死にやっている。結果はその先にあるものだと思っています」

 -セットアッパーとして72試合に投げた2017年のイメージが残っている。

 「もう戻ろうという感覚はゼロです。リハビリ中は当時の映像を見て、良かったときの感覚を思い出そうとしていた。去年のシーズン初めごろまではそういう意識でやっていたけれど、そこを追い掛けて去年も失敗した。だから、ゼロから新しいフォームにも取り組めた。今はもう当時とは違います」

守護神への思いも

 -同い年の嘉弥真が4年連続、森は7年続けてシーズンで50試合以上投げている。どう見ているか。

 「ただただ、すごいなと。森の記録は長いプロ野球の中でも(元中日の)岩瀬さんとか(日本ハムの)宮西さんとか、何人かしか出てこない。でも、そういう人もいれば、短くて濃い成績を残した選手もいる。だから、僕は僕らしく。誰もが毎年、何十試合も投げられるような世界ではない。誰もができないからこそ、たたえられるのです」

 -今でもクローザーへの思いは消えていない。

 「野球選手として上を目指すという意味では、心の中にはあります。8回を目指し、その次は9回を目指していこうとする気持ちは、みんな持っていないといけないと思う。その競争がチーム力を高めていくので。もちろん、森には森のすごさがあって、9回を守ってきている。そこを認めつつ僕もレベルを上げて、またそこで争える力をつけたいです」

 -投球フォームや思考が変わっても、パフォーマンスは17年を再現したい。

 「あれだけ投げたということは、それだけチームから頼られていたということだと思う。もう一度、そういう存在になりたい。でも、まずは『1年間1軍で』という思いが一番強い。手術してから、それができていない。野球選手としても良くない。次の年のことを考えて力をセーブするようなことはしたくない。いつ終わってもいいぐらいの気持ちで、出し切ります」

 ◆岩崎の2020年シーズン 開幕1軍入りしたものの、6月26、27日の西武戦(メットライフドーム)でいずれも逆転本塁打を浴び、2試合連続で敗戦投手に。7月9日に出場選手登録を外れ、その後は2軍戦でも振るわず、長身を生かして右腕を上から振り下ろすよう投球フォームを見直した。1軍に再昇格した10月以降は11試合に登板し、7ホールドで防御率1・93。ポストシーズンも計3試合に投げ、無失点で2ホールドをマークした。

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