東京五輪代表らが明かすスポンサー事情 鹿児島を拠点とする2選手の思い

西日本スポーツ 末継 智章

 ボクシング男子ウエルター級で東京五輪の出場権をつかんでいる岡沢セオン(25)=鹿児島県体協=がスポンサーを探している。アマチュアボクシングの地位と人気を高めるため、自立を宣言した。また、フェンシング男子サーブルで東京五輪出場を目指すストリーツ海飛(26)=鹿児島クラブ=は昨秋所属企業との契約が終了。新型コロナウイルスの影響で新たなスポンサーが見つからず、活動費の確保に苦慮している。 (末継智章)

岡沢セオン、夢を与える選手に

 岡沢がリング上で突然表明した。「来年度からスポンサーをつけて、その収入のみで生活していこうと思います。“プロのアマチュアボクサー”になります」

 2月11日に行われたチャリティーイベント「LEGEND」で若手プロボクサーと対戦した直後。ただし、プロボクサーに転向するのではない。「今までアマチュアで(大学卒業後も)ボクシングを続けるには、国体に出場するか、自衛隊に入るしかなかった。自ら大きなスポンサーをつけ、1000万円を稼ぐボクサーになれば、夢のあるスポーツになり、子どもたちも五輪を目指してくれる」とアマボクシングの地位向上が狙いであることを明かした。

 岡沢は2020年に鹿児島国体で鹿児島県代表として出場するはずだった。しかし、同国体はコロナ禍で23年に延期された。同県体協との契約は今年3月末で切れる。「かなり前からイメージがあったが、知名度がないとスポンサーはつかない。五輪出場を決め、もしかしたらできるかもしれないと思った」と決断の理由を明かした。

 同県鹿屋市の「Wild.bスポーツジム」を離れるつもりはない。中大卒業後に一度は引退を考えた岡沢は「鹿屋で強くしてもらった。ここでなければ今の自分はないし、これからもない」と強い恩義を感じている。スポンサーもまず同市を中心に募った上で全国に広げたい考えで、五輪後の23年国体で優勝する目標も持ち続ける。

 アマチュアにこだわるのは、3分3ラウンド制で有効打の数が問われるこの競技ルールなら「プロの世界王者が来ても負けない」というプライドがあるから。「LEGEND」でも10戦10勝9KOの若手プロを持ち味のアウトボクシングで翻弄(ほんろう)した。「自分は試合に強いタイプ。最近で一番良い動きができ、東京五輪のイメージがつかめた」と手応えをつかんだ。

 大きな会場と派手な演出の中で試合をするプロをうらやみながら「夢のある選手になりたい。(スポンサー料で)10億円稼いだらプロではなくアマで五輪を目指そうとなるかな」と壮大な夢を語った。4月からフリーになる所属先も「ネーミングライツのように権利を買ってもらいたい」と募集中。問い合わせは「Wild.bスポーツ」の荒竹俊也会長=0994(41)5107。

 ◆岡沢セオン(おかざわ・せおん)1995年12月21日生まれ。山形市出身。ガーナ人の父と日本人の母を持ち、小学1年からレスリングを始め、日大山形高でボクシングに転向。中大卒業後の2018年から鹿児島県鹿屋市を練習拠点とし、19年のアジア選手権男子ウエルター級で日本人として36年ぶりに銀メダルを獲得。世界選手権も同級で8強入りし、昨年3月のアジア・オセアニア予選で五輪出場権を獲得した。サウスポーだが本来は右利き。身長179センチ。

ストリーツ海飛、競技に専念したい

 10~14日のフェンシングのワールドカップ(ブダペスト)で五輪出場権を懸けて戦うストリーツは、年間約350万円かかる活動費を確保できていない。昨年11月限りで所属先のアスリート雇用枠がなくなり契約終了。鹿児島県代表として出場予定だった鹿児島国体の延期に伴い、同県体協との契約も3月末で終わるだけに「できるだけ早く支援先を見つけたい」と危機感を募らせる。

 7歳から米国で育ち、同県出身の母範子さんの「日本から東京五輪に出てほしい」という願いに応えるため、2018年に帰国した。全日本選手権を2度制した実力派で、五輪の1年延期を受けてヨガやストレッチで柔軟性を高め「体が簡単に動くようになった」とさらなるパワーアップも期待できる。4月以降も国際大会は続き、23年の鹿児島国体優勝や24年のパリ五輪出場も目指している。「日本代表として競技に専念できる生活環境と勤務態勢を支援していただければ」と願うが、コロナ禍の影響もあって難航している。

 英語の語学力に加え、米ペンシルベニア州立大で経営学を専攻した文武両道の国際派。「将来は国際的な仕事をしたい。冷静で目の前の課題に集中して努力を続けるアスリート精神はビジネスに生かせる」と将来的にはスポンサー企業の社員として働くことも視野に入れている。3月末までの問い合わせは鹿児島県体協=099(255)0146。

 ◆ストリーツ海飛(すとりーつ・かいと)1994年6月6日生まれ。横浜市出身。米国人の父と日本人の母との間に生まれ、8歳の時に米カリフォルニア州でフェンシングを始める。16歳で全米ジュニア選手権を制覇。2016年に全米選手権、17、19年には全日本選手権で優勝。3歳上の兄との2人兄弟。176センチ、75キロ。

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