テコンドー五輪代表浜田真由が刺激受けた「激闘」は

西日本スポーツ 末継 智章

 3大会連続で五輪に出場する東京五輪テコンドー女子57キロ級日本代表の浜田真由(ミキハウス)=佐賀市出身=がオンライン取材で、2019年に股関節を手術した影響で自重していた実戦練習を4月に再開するプランを明かした。調子が上がらず抱えていた不安を吹き飛ばしてくれた「世紀の一戦」にも言及。残り半年を切った本番まで悔いなく調整する意気込みを語った。 (聞き手・構成=末継智章)

 浜田は2019年2月、長年痛みを感じていた股関節の手術に踏み切った。昨年2月の東京五輪日本代表最終選考会で優勝した際も本調子からは遠く、五輪の1年延期が決まってからは慎重に調整してきた。

 「昨年緊急事態宣言が出て佐賀に帰ってからは軽い運動。6月に東京へ戻り、基礎トレーニングから再開した。9月から毎月1回開かれている代表合宿では、練習メニューの半分程度しか参加できない。他の選手がばりばりやっている実戦形式の練習を4月には防具を着けて(実戦練習を)やれるようにしたい」

左足大けが克服した体操の寺本から勇気

 世界選手権で日本勢初の金メダルを取った15年から得意の上段蹴りを放つと違和感があり、17年には足が上がらなくなった。手術で患部は完治したが恐怖感が今もある。

 「頭を蹴る際に右脚がちょっと上げづらい。今までは相手を引き付けて(弧を描くように)蹴れていたけど、まっすぐ蹴るなど違う軌道にした。どの蹴りが使えるか全種類試している段階で、4月から絞ろうと思う」

 昨年は状態が上がらず不安を抱えながら過ごしていたが、テレビで見たある試合に勇気づけられた。昨年12月に一発勝負で行われた柔道男子66キロ級五輪代表決定戦。浜田と同じミキハウス所属の丸山城志郎(宮崎市出身)が阿部一二三(パーク24)に惜敗した24分間の激闘に心を奪われた。

 「映像越しでも緊張感が伝わった。どっちが五輪に出ても優勝できるのに代表を決めないといけないなんて、すごいことだなと感動した。当時は調子が上がらず、他人の練習もあまり見たくない時期だったけど、自分の悩みはちっぽけだなと。そんな悩みは言っていられないと思うようになった」

男子代表の座逃した兄の思いも背負って

 浜田と同じく3大会連続の五輪出場を目指すミキハウス所属の体操女子、寺本明日香にも勇気づけられている。昨年2月に左アキレス腱(けん)を断裂しながら同年9月の全日本シニア選手権で復帰した。

 「会ったことはないけど、同じ所属になったのでニュースを読むようになった。大きなけがから復活し、五輪に合わせて回復しつつある。私も頑張ろうという気持ちにさせてくれる」

 股関節の治療が続き、18年10月のマンチェスターグランプリ(英国)を最後に公式戦で外国人選手と闘っていない。今後もコロナ禍で国際大会に出られる保証はないが、浜田に焦りはない。

 「久しぶりに会い、相手の手の内を知らずに闘うのも本当の“闘い”っぽくて良いのかなと。昔はそう思わなかったけど、こういうときしか味わえないからそれはそれで良いと思う」

 2月は帰省し、兄康弘さんが昨年佐賀市内に開設した道場で汗を流した。康弘さんは昨年の五輪代表最終選考会に男子68キロ級で出場し、決勝で敗れて初出場を逃した。兄の分までという思いもあるが、気負わず約半年後の本番に目を向ける。

 「目標は金メダルだけどあまり考えず、一試合一試合、闘ったら終わっていたという感じにしたい」

 ◆浜田真由(はまだ・まゆ)1994年1月31日生まれ。佐賀市出身。小学1年でテコンドーを始め、佐賀・高志館高2年時の2011年に全日本選手権女子57キロ級で初出場初優勝。12年ロンドン五輪5位。15年世界選手権で日本勢初優勝。16年リオデジャネイロ五輪は2回戦で敗退した。両親と兄、弟の5人家族で、兄康弘さんは男子68キロ級の東京五輪代表補欠、弟一誓さんも男子63キロ級で17年世界選手権に出場した。174センチ。

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