育成出身初の開幕白星 ソフトバンク石川柊太がまだ無名だった頃…恩師から授かった言葉

西日本スポーツ

 ◆ソフトバンク8-2ロッテ(26日・ペイペイドーム)

 声援の代わりにファンから力いっぱいの拍手を送られた。2点差に迫られた6回。石川は連続四球で2死満塁とピンチを招き、開き直った。田村に3球勝負を挑みスライダーで空振り三振。打席で膝を折り悔しがる相手を尻目に、事もなげにベンチに引き揚げた。

 工藤監督から掛けられたのは一言。「代えないぞ」。力を振り絞った7回は3人で片付けた。107球を投げ被安打5、1失点で大役を全うし、育成出身選手として史上初めて開幕戦での白星をつかんだ。

 「千賀がやっていない育成出身の(記録)はなかなかない。一つのネタ」。白い歯を見せたが、すぐに表情を引き締めた。「育成出身でもできるんだという気持ちは大事にしている。その育成魂は持ってやっていきたい」

「育成魂持って」

 春季キャンプの2月18日、宿舎で工藤監督の部屋に呼ばれた。千賀、東浜の調整が遅れる中、昨季の最多勝、勝率第1位の2冠右腕に育成出身としては千賀に続く史上2人目の開幕投手の栄誉を託された。それでも「不変」を肝に銘じた。

 他人と比べることはしない。ルーツは創価大時代にある。ヤクルトで今季開幕投手を務めた小川が当時、1学年上に絶対的エースとして君臨していた。分厚く高い壁にもがく石川。寮に一緒に住み込んでいた当時の岸雅司監督と日誌をやりとりし、「志を高く。自分らしく」と返ってきた言葉を今も指針にしている。

 その恩師が昨年末、37年間の監督生活に終止符を打った。今年1月3日、東京・八王子市にある母校グラウンドに赴き、OB一同で記念のバットを贈った。「僕にとっては、あの4年が今でも心に刻まれている」。8年目で初の大役でも、自分らしさを出し切った。

 マウンドに上がる登場曲は「SPECIALIZER」。ファンを公言する「ももいろクローバーZ」の佐々木彩夏が歌う新曲だ。題名の意味は「一つのことを極める者」。己の投球を突き詰め、開幕投手を託されるまでになった石川の、生きざまそのもののタイトルだった。 (鎌田真一郎)

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