捕れなかった1球「自分の甘さが出た」それでも明豊が守り抜いたもの

西日本スポーツ 前田 泰子

 ◆選抜高校野球大会 決勝 東海大相模3-2明豊(1日、甲子園)

 春夏通じて初の決勝に進んだ明豊(大分)が紫紺の大優勝旗を逃した。東海大相模(神奈川)に2-3でサヨナラ負けして準優勝。序盤から先手を取る展開も、9回1死満塁で遊撃強襲のサヨナラ打を許して力尽きた。大分県勢では1967年の津久見以来、54年ぶりとなる頂点には惜しくも届かなかったが、全5試合で無失策の堅守と巧みな選手起用が光った。東海大相模は10年ぶり3度目の優勝となった。

 全国区の強豪にわずかに及ばなかった。9回1死満塁。東海大相模の3番打者が放った強烈な打球は、遊撃で前進守備を敷いていた明豊の幸修也主将(3年)のグラブに当たって中前へ。運命を分けたサヨナラ打を「捕れる球だった。自分の甘さが出た」と悔やんだ。

 打球に飛び付いた姿をマウンドから見た2番手の京本真(同)は「幸だからグラブに当たった。普通のショートならグラブにも当たらない。自分が捕手の構えより高めに投げてしまった」とかばった。決勝までの全5試合を無失策で戦い抜いたのは史上初。固い信頼関係が言葉ににじんだ。

 大分県勢54年ぶりの頂点が懸かった決勝も全員で守った。4回は右翼の山本晃也(同)が浅いライナーを前進して好捕。飛び出していた一塁走者も刺した。川崎絢平監督は「みんなが精いっぱいやってくれた。起用に応えようとする姿がうれしかった」とたたえた。

 今大会は一戦ごとに強くなった。10-9の乱戦だった東播磨(兵庫)との初戦は3投手が12四死球の大乱調。左腕の太田虎次朗(3年)も2番手で5四球を与えたが、投げるごとに調子を上げた。先発した決勝は7回2失点と好投した。

 「今までは打者のことばかり考えていた。甲子園で守備が自分を救ってくれて、打たせて取るイメージができるようになった」。背番号1をつける京本も「一人の戦いじゃない。みんなで打者を抑える気持ちで投げています」と口にする。

先輩から毎試合激励の電話

 出場が決まっていた前回大会がコロナ禍で中止となった1学年上の先輩からは激励の電話が毎試合届いた。「俺たちは準々決勝で勝って緩んでしまった。おまえたちは宿の生活もしっかりやれよ」。4強入りした2019年春の経験も聞いた。

 先輩に託された日本一には届かなかった。「絶対夏に戻ってきて日本一を取りたい」。太田は新たな誓いを立てた。「準優勝の喜びより悔しさを持って、明日から進んでほしい」と川崎監督。信頼の絆で結ばれた明豊ナインが、夏はさらなる高みを目指す。 (前田泰子)

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