球団30年ぶり快挙のソフトバンク和田「九州のチームとして勝ちたかった」理由

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆ソフトバンク4-1オリックス(14日、ペイペイドーム)

 40歳の和田毅投手が22歳の剛腕山本に投げ勝った。今季自己最速の146キロもマークし、7回途中まで無失点。自身が被災者支援を続ける熊本地震の前震発生から丸5年の日、球団の先発として実に30年ぶりの40代勝利投手となった。前回対戦で13三振を奪われて完封された山本を、改造した打線が攻略。「お得意さま」オリックス相手の連敗も3で止めた。

今季最速146キロ

 40歳が剛腕に投げ勝った。「自分がゼロに抑えれば負けることはない」。22歳の山本との投げ合いに、一歩も引かなかった。唯一、得点圏に走者を背負ったのは2回。2死から杉本に二塁打を打たれたが続く伏見にオール直球で3球勝負を挑み空振り三振を奪った。力で圧倒する投球には若さが満ちあふれていた。

 直球の最速は今季最速の146キロをマーク。7回に杉本をチェンジアップで左飛に打ち取り2死までこぎつけたところで、森山投手コーチとトレーナーがベンチから飛び出してきた。「恥ずかしいんですけど、脚がつってしまいました」

 軸足の異変でイニング途中の交代となったが、6回2/3を被安打4、無失点と仕事はまっとう。今季初勝利は記念すべき1勝でもあった。球団の40歳以上で白星を挙げたのは当時40歳だった2001年の長冨浩志以来20年ぶり、先発に限れば同41歳だった1991年の今井雄太郎以来30年ぶりの快挙だった。

 不惑になっても、練習量や食欲が落ちることはない。加齢を感じるのは、ふとテレビを見ているとき。「若者の言葉が分からない。娘に聞いたら、娘は知っている」と苦笑いする。

 プロ19年目。あまたの経験を積んだ左腕も、銅メダルを獲得した04年のアテネ五輪と、メダルを逃した08年の北京五輪の記憶は深く刻まれている。「五輪代表は、野球だけではなく国民の代表という認識だった。日の丸の重みを感じた」。同年以来の赤いグラブを使う左腕は、東京五輪開幕まで100日の節目に想像を絶する重圧を思い出した。

 東京五輪でも柱として期待されていた千賀が左足首を痛め戦線離脱した影響もあり、中9日でのマウンド。熊本地震の前震の発生から丸5年の日に重なった。震災発生後からオフには野球教室を開催し続け、昨年12月には同7月の豪雨で氾濫した球磨川が流れる人吉を訪れた。仮設住宅で住人と一緒につくった門松は持ち帰り、自宅に飾って新年を迎えた。

 「九州のチームとして、きょうはなんとか勝ちたかった」。心優しきサウスポーがマウンドでその思いを、あらん限りぶつけた。 (鎌田真一郎)

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