松井稼、小坂、今宮、源田…パ・リーグ歴代の名遊撃手はどれだけ優れているか

西日本スポーツ 森 淳

 福岡ソフトバンク今宮健太内野手(29)の守備が改めて脚光を浴びている。故障歴があり休養を挟みながらの出場だが、右に左に動き回ってアクロバティックな美技を連発中だ。過去の名手との比較で、今宮の評価はどうなるか。守備指標は公式記録では守備率ぐらいだが、近年は米国流のデータ分析手法セイバーメトリクスが浸透。プロ野球のデータを独自に収集、分析するDELTA(デルタ)のアナリストが、その手法を応用して歴代の遊撃手を評価する試みを行った。(構成=森 淳)

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 今宮の守備の魅力と言えば、超人的な反応と広大な守備範囲に、肩の強さ、圧倒的な身体能力にあるだろう。その守備力はどう測れるか。公式記録には守備率があるが、「失策の少なさ」を示すにすぎない。

 その点、セイバーメトリクスには多くの守備指標がある。現在、代表的な総合指標はUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)。DPR(併殺完成による貢献)、RngR(打球処理による貢献)、ErrR(失策抑止による貢献)を合計したものだ。全て同ポジションの平均的な野手と比べ、失点を何点防いだかを算出している。

 算出にあたり、デルタではフィールドを208のゾーンに分割。打球をゴロ、フライ、ライナーの3種類に分類して集計している。つまり映像が必要だ。集計は2014年から。そこで「プロ野球を統計学と客観分析で考えるデルタ・ベースボール・リポート4」(水曜社)では、アナリスト竹下弘道氏が過去の選手も評価するため、現在の分析手法を応用して「公式戦の打席結果の記録」から状況を特定・推定。“疑似UZR”を算出し、テーブルスコア・レーティング(TSR)と名付け検証した。今回は2000年代パ・リーグの歴代ショートの評価を紹介する。

 まず今宮だが、プロ5年目の14年に自身最高の9・4(これも同ポジションの平均的な野手と比べ、失点を何点防いだかを算出)。当時はゴールデングラブ(GG)賞の5年連続受賞の途中で、大きなプラスを計上していた。ただ近年は故障もあり数字が低下。同氏によると意外にも併殺面での評価が著しいマイナスで、本多雄一の故障もあり、15年から二塁手が固定しなくなったことが影響した可能性も指摘している。

 今宮の先代である川崎宗則はどうか。米大リーグ挑戦前年の11年、リーグ最高にして自己最高の8・7をマーク。レギュラー定着した03年以降でマイナスは1年だけと安定していた。

 パの名手を年代順にさかのぼると、やはり源田壮亮(西武)が出色で18年に24・6をマークした。中島卓也(日本ハム)が15年に16・3、安達了一(オリックス)が14年に17・5。同氏によると安達の通算守備成績はGG賞未経験の遊撃手では歴代最高クラスで、不遇と言えるかもしれない。

 金子誠(日本ハム)が09年に17・7、この辺りまでは数年スパンでリーグ最高の選手が入れ替わるが、05年以前は小坂誠(ロッテ)が席巻した。特に03年の29・0は圧巻。プロ入りした1997年から、巨人に移籍する前年の05年までほぼリーグ最高を独占している。長期離脱のあった02年は松井稼頭央(西武)が8・5でトップに立った。

 今回の今宮の評価は世評の割に辛め。竹下氏によるとUZRでも傾向は同じだという。もちろん指標で測りきれない魅力があるのも確か。応援する選手の価値を構成するものは何か。セイバーメトリクスを手がかりに考えるのも一興だ。

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 セ・リーグの選手を含めた分析の詳細は「デルタ・ベースボール・リポート4」で。5月6日にはオンラインイベントで、デルタ社代表の岡田友輔氏、アナリスト蛭川皓平氏が分析を紹介し、米国のセイバーメトリクス研究の潮流などを解説。プロ野球の序盤戦も振り返る。イベント情報はhttps://lateral-osaka.com/schedule/2021-05-06-790/

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