代打よぎったが…工藤監督、ノムさんに並んだ1勝に不思議な縁

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆ロッテ2-3ソフトバンク(23日、ZOZOマリンスタジアム)

 鮮やかな9回の逆転劇で工藤公康監督(57)がホークスの監督として通算512勝に達した。故野村克也氏に並ぶ歴代3位。ロッテの守護神益田から決勝打を放ったのは、同氏の背番号19を継承した甲斐拓也捕手(28)だった。益田に3戦続けて黒星を付け、昨季唯一負け越したロッテに開幕4連勝を飾り、チームは1分けを挟む4連勝で首位固め。球団の偉大な歴史を感じる千葉の夜になった。

■代打よぎるも信頼

 ロッテの守護神益田を一気にのみ込んだ。1点を追う9回、1死からデスパイネ中村晃の連打で追い付き、松田も安打で続いた。打者甲斐の場面で、工藤監督は小久保ヘッドコーチと相談した。代打の可能性も「ゼロではなかった」。それでも20日の楽天戦で5打点をマークした正捕手にチャンスを託した。

 松田の盗塁で二、三塁となり、背番号19は追い込まれても内角直球に詰まりながら振り切った。決勝の中前打。チームは益田に3試合続けて黒星を付けた。そして今季の14勝中7勝が逆転勝ちだ。

 「自分に回って『ここで1点』というところで、しっかり気持ちで打てた。(7回途中2失点の)石川さんのピッチングがあったからこそ」

 功は人に譲れ-。大分・楊志館高時代から故野村克也氏の著書を熱心に読む甲斐が、19番の大先輩でもある生前の同氏から贈られて胸に刻み込んでいる言葉だ。そのアドバイス通り、ヒーローになっても謙虚な姿勢を崩さなかった。

 縁を感じさせる節目の1勝だ。工藤監督は就任7年目で512勝を積み上げ、南海時代の野村氏に並ぶ球団歴代3位となった。「(縁も)あるかもしれないですね。甲斐君も野村さんのことを慕って、いろいろ教わっている。学ぶことも失敗もあるだろうが、少しでも近づけるように」。ヒーローに、さらなる飛躍を期待した。

■著書読破し野球観

 選手時代に11度、監督として5度の日本一を誇る工藤監督にとっても、野村氏の著書はプロ野球の礎を築く「教科書」だった。打者の打席内における思考の傾向などを4タイプに分けていた同氏の考え方をベースに、自身の感覚を合わせて野球観を磨き上げた。

 2020年2月11日に死去した際には「現役の時から野村さんの本を全て読んだ。そこが僕の野球観を養う上でほぼ全てでした」と語ったほどだ。過去2年負け越してきた「鬼門」ZOZOマリンスタジアムの今季初戦で見せた最終回の逆転劇。偉大な先人に並ぶ記録に、昨季唯一負け越したロッテへの開幕4連勝で到達した。 (鎌田真一郎)

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