冨安健洋 “肘打ち事件”は「いろいろ考えるきっかけになった」

西日本スポーツ

 ◆冨安健洋コラム「僕の生きる道」

 サッカー日本代表DFで、東京五輪での活躍が期待されるイタリア・セリエAボローニャの冨安健洋。福岡で生まれ育ち、アビスパ福岡で土台を築き、活躍の場を海外に広げた。これまで歩んできた道を振り返りながら、現在の考えや未来、理想などをコラム「僕の生きる道」につづる。

   ◇   ◇   ◇

 あの試合ではご心配かけました。歯は欠けたけど大丈夫ですよ。ちゃんと治療したので、全く問題ありません。

 日本代表の一員として3月末、さまざまな方々の努力のおかげで試合を行うことができました。その感謝を伝えるのはピッチ。韓国戦、モンゴル戦に勝利することができたのは何よりでした。

 韓国戦ではマークしていた相手選手の肘が自分の顔に当たり、歯が欠ける場面がありました。今回の件は自分にとっていろいろ考えるきっかけになりました。改めて感じる思いを伝えたいです。

 多くの方は相手選手がわざと肘打ちしたと捉えているようです。さまざまな意見はありますが、個人的にはそうじゃないという感覚が大きい。当たった瞬間の相手の反応からしても「ごめん」という感じだったので。

 周囲からは「なぜやり返さない」という指摘もありました。相手がわざとやったと受け止めていたら違っていたかもしれませんが、そもそも自分にやり返そうという発想が全くなかった。試合中のメンタルコントロールをする上で、もしやり返すことに意識が向いていれば自分のプレーに集中できていないということです。

 イタリアの評論家やメディア、監督からは自分のプレーについて「マリーシアが足りない」と指摘されることがあります。ポルトガル語で「ずる賢い」という意味で、サッカー界ではよく使われます。もちろん自分に学ぶべき点があると理解しています。

 そういった声を受け止めても、クリーンにプレーしたいというのが自分の信条です。どんなラフプレーを受けても冷静に対処し、ファウルではない範囲でスマートに抑える。それがスーパーだと思うし、実力で勝っていることになる。そっちの方がかっこいい。イタリアでは自分から相手に当たりにいってファウルをもらおうとする選手もいますが、そういうプレーに慣れるつもりもありません。

 左ふくらはぎを痛めて2月末からセリエAの試合を欠場しました。でも3月の代表活動に参加しないという選択肢は考えなかった。機会があるなら、常に入りたいのが日本代表。たとえ移動による負担があったとしても、代表に参加すれば精神的にも肉体的にも状態が上がる実感があります。イタリアでは無観客でプレーしているので、今回はサポーターのいるスタジアムで試合ができたことも楽しかった。

 日本代表の活動と並行し、五輪代表も試合を行いました。森保監督に信頼していただき、日本代表に呼んでいただいたのは光栄なこと。6月には日本代表の活動とともに、アビスパ福岡の本拠地のベスト電器スタジアムで五輪代表の試合があります。どちらのチームでプレーすることができるかは分かりませんが、強い思いで取り組むことに変わりはありません。(サッカー日本代表、ボローニャ)

 ◆冨安健洋(とみやす・たけひろ)1998年11月5日生まれ。福岡市出身。三筑キッカーズからアビスパ福岡の下部組織に進み、高校2年時の2015年にトップチームに2種登録され、翌16年に正式昇格。18年1月にベルギー1部のシントトロイデンに移籍し、19年7月にイタリア・セリエAのボローニャへ。187センチ、84キロ。

PR

日本代表 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング