「私、鼻血が出てたの気付いてました?」新鍋理沙が驚いた長岡望悠の一言

西日本スポーツ 末継 智章

 バレーボールの男女日本代表が5月1日(男子は同2日も)、東京五輪競技会場の東京・有明アリーナで同五輪テスト大会を兼ねた親善試合で中国と対戦する。

 2012年ロンドン五輪銅メダリストで昨年6月の引退まで女子日本代表に入り、現在はVリーグ1部、久光スプリングスの運営会社「SAGA久光スプリングス」で所属アスリートを務める新鍋理沙さん(30)が西日本スポーツのインタビューに応じ、女子日本代表への期待や注目点などを語った。(聞き手・構成=末継智章)

   ◇   ◇   ◇

 -引退からもうすぐ1年。五輪延期や右手人さし指痛が理由だった。

 未練はないです。中途半端な気持ちで代表に行くのは駄目だと思ったので。中でやるより外で見る今の方がバレーの難しさを実感する。客観的に見るようになり、細かいプレーの大事さを感じています。

 -今年の代表24人が発表され、同じ久光の長岡望悠も入った。

 2回も(左膝を)けがをしても代表に戻ってくるのはすごい。リハビリしている姿を(久光の)チーム全員が見ていたので、帰ってきたことはうれしい。

 -黙々とリハビリメニューをこなしていた。

 自分の考えをちゃんと持ち、しっかり実行する。なかなか簡単にできることではありません。彼女は結構マイペースなんです。

 -マイペースぶりを実感した思い出がある。

 2014~15年シーズンの開幕戦。1-2からの第4セットで東レにマッチポイントを迎えられたけど、最終的にフルセットの末に逆転で勝利した。その試合後の望悠の一言目が「私、鼻血が出ていたの気付いていました?」。彼女も含めてみんな必死で戦っていたのに、この人はすごいなあと思いました。

 -技術面のすごさは。

 左利きで打つコースが本当に広く、フォームがそんなに変わらない。ブロックする人もレシーバーも読みづらい。チームが苦しいときに絶対決めてくれていたし、味方で良かったと思っています。

 -Vリーグでは古賀紗理那(NEC)の活躍が目立った。

 今までと違い、好不調の波があまりなかった。攻撃もテンポが速くなり、守備もすごい。もともと上手だけど(19年の)ワールドカップ(W杯)を経験してから変わったのでは。

 -久光からは石井優希と井上愛里沙もメンバー入り。

 優希の良さは安定感。レフトは難しいトスが集まりがちだけど、点が欲しいときに打ち切ってくれる。井上選手もどちらかというと“悪球打ち”。「どうやったらそこに打つの?」という所へ打つので、味方も読めません(笑)。

 -女子日本代表の中田久美監督には久光の監督時代から師事した。

 久美さんが久光の監督だった時の試合を今でも見るけど、チームのパスがきれいで相手の準備が間に合っていなかった。テンポの良さは久美さんとやって(私が)一番変わった部分でした。

 -新鍋さんの安定したサーブレシーブがテンポの良さにつながった。

 正面で拾わないようにしていました。前後の変化が苦手で、球が伸びたときに対応できないので。横半身だったら正面に来ても、体を逃がして腕でコントロールできる。(レシーブの瞬間に)腕は押し出すのではなく少し引いていました。

 -今の代表で“後継者”と思う選手は。

 サーブレシーブだけではないですが、トータルで見ると林琴奈選手(JT)推しです。身長はあまりないけど守りがうまく、攻撃もいろんな技を持っている。攻撃力のある選手が注目されがちだけど、ひそかに注目しています。

 -代表は長期合宿を経て5月下旬開幕のネーションズリーグ(イタリア)後、12人に絞られる。

 長い合宿で夜眠れているのか気になります。特に今はコロナ禍で息抜きも難しいですから。オンとオフの気持ちをしっかり切り替えてほしいと思います。

■競技普及が第二の人生 会社初の所属アスリートに

 新鍋さんは今季限りで引退する元日本代表主将の岩坂名奈と、座安琴希、小島絢野の久光3選手に「長い間一緒に戦い、たくさんの素晴らしい時間を共有させてもらって感謝の気持ちでいっぱいです。これからの人生がますます素晴らしいものとなりますよう祈っています」とコメントした。

 新鍋さんは引退した後、久光の運営会社「SAGA久光スプリングス」初の所属アスリートに就任。アスリートのセカンドキャリアを重んじる同社のモデルケースとして、試合解説やイベント出演などを通じて競技の普及に務めている。

 同社は2023年春の完成を目指して本拠地の佐賀県鳥栖市に新練習施設を整備する計画を進めるなど地域密着を掲げており、新鍋さんは「今後はバレーボール教室を開きたい。佐賀はサッカーもバスケもあるので、一緒にスポーツで盛り上がっていけば」と活性化の一翼を担う意欲を示す。

 「現役時代は引退後の自分をまったく想像していなかった。いろいろ新しいことをさせてもらっているので今はすごく楽しい」と新鍋さん。元来野球好きで「現役時代は難しかった野球観戦に行きたい。始球式…いや、打つ方をしてみたい!」とリクエストした。

 ◆新鍋理沙(しんなべ・りさ)1990年7月11日生まれ。鹿児島県霧島市出身。現役時のポジションはアウトサイドヒッター。宮崎・延岡学園高を経て2009年に久光製薬(現久光スプリングス)へ入り、5度のリーグ優勝に貢献。13~14年シーズンにMVPを受賞した。女子日本代表には11年に入り、12年のロンドン五輪銅メダルに貢献。優勝した17年のアジア選手権でMVPに輝いた。

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