復帰への第一歩 甲斐野が心折れかけた時…支えは2人の同期

西日本スポーツ 長浜 幸治

 昨年12月に右肘を手術した甲斐野央投手(24)が8日、四国アイランドリーグplus・高知との3軍戦(タマスタ筑後)で約10カ月ぶりに実戦登板し、いきなり最速153キロをたたき出した。先発のマウンドで1回を無安打無失点。ルーキーイヤーの2019年にはチーム最多の65試合に登板し、侍ジャパンでも活躍した豪腕リリーバーが、復活へ確かな一歩を踏み出した。

 観客からの大きな拍手を受け、忘れかけていた感覚がよみがえった。「久しぶりに温かく送り出してもらった。自然とアドレナリンが出た」。マウンド上で甲斐野が見せたギラギラとした目つきは、1軍で投げていた当時と変わらない。背番号20がようやくグラウンドに戻ってきた。

 「(調整の)段階としてはまだまだ」と振り返ったように先頭に四球を与えたが、真っすぐの力は健在だった。続く打者をこの日最速の153キロで投ゴロ併殺に仕留めると、最後の打者も151キロで詰まらせ三ゴロに打ち取った。「真っすぐはシュート回転していたけど、球の強さはある程度あった」と手応えもつかんだ15球だった。

 苦しいリハビリ生活でくじけそうになった心を奮い立たせてくれたのは同期の存在だった。今季開幕1軍入りした泉、杉山の活躍に自らを重ねた。「悔しい気持ちはもちろんあるけど、自分が1年目に1軍で投げていたのを2人は今の僕と同じような気持ちで見ていたんだなと。目標はあくまで上で投げること。負けないようにやるしかない」

同期の活躍励みに

 中継ぎの高橋純が右手骨折で戦列を離れ、チームとしては少しでも早い復帰を望みたい状況ではある。だが工藤監督はぐっとこらえた。「あれだけの成績を残した選手だし、こっちはどうしても頼っちゃうので。ある程度試合をこなして問題ないという状態をつくってほしい」と万全の状態での復帰を期待した。

 甲斐野自身も今後の調整がとんとん拍子に進むとは思っていない。「まずは肘が明日どういう状態か。このままのパフォーマンスじゃ駄目だということも分かっている」。それでもあふれる高ぶりは隠せなかった。「今は久々の感覚を味わえたことがうれしい」。暗闇にようやく光が差し込んだかのように笑みを浮かべた。(長浜幸治)

甲斐野の実戦復帰までの歩み 

2020年12月  4日 右肘を手術。復帰まで約3カ月の診断を受ける。

  21年 1月  8日 1歳年上の一般女性との結婚を発表。

      2月  3日 術後初めてのキャッチボール。

      3月19日 本格的なブルペン投球を再開。

      4月  9日 術後初のシート打撃に登板。打者6人と対戦し、安打性の当たりは1本。

         最速は152キロ。

      5月  4日 約1カ月ぶりのシート打撃登板で最速152キロをマーク。

      5月  8日 約10カ月ぶりに実戦登板。1回を無安打無失点。最速は153キロ。

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