「昇格即ACL」も視野 快調に飛ばすアビスパ福岡がこれから迎える局面

西日本スポーツ

【アビスパ取材20年超 ライター・島田徹コラム】

 アビスパ福岡の前半戦も残り2試合。クラブ連勝記録こそ「6」で止まったものの、ルヴァン・カップも含む公式戦は現在11戦負けなしです。後半戦も快進撃を続けるための鍵は何か。アビスパ取材歴20年以上のフリーライター島田徹氏(56)によるコラム「“福岡”を語ろう」の今シーズン第7回では、得意の「堅守速攻」以外の新たな武器の必要性について分析しました。 

■「ダイレクトプレー」

 26日の横浜FC戦を1-1のドローで終え、J1におけるクラブ連勝記録は「6」でストップしました。勝ち越すチャンスがありながらPK失敗など好機を逃しての結果だけに試合後の選手はかなり悔しそうでした。しかし、ルヴァン・カップを含めて現在公式戦11戦負けなしと、好調はまだ続いているのです。

 実際にリーグ戦では暫定ながら5位をキープ。3位鳥栖との勝ち点差は3です。「3位」が何を意味するかご存じですよね? そうです、トップ3には来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権が与えられるのです。そうなればもちろんクラブ初の快挙です。

 「僕らは昨季のJ2で2位。つまり今季J1では20位からのスタート」とシーズン当初から長谷部監督や選手の誰もが口にしてきた言葉を、横浜FC戦後にGK村上が改めて口にしました。チームはただ目の前の一戦に集中する「一戦必勝」の姿勢を崩すつもりはなく、この時点でACL出場を頭の中で考えることさえしないはず。

 しかし、今季の目標である「10位以内」という目標達成の先に「快挙」が待っていると考えることは罪ではないでしょう。特に、サポートする方々にとっては。

 ともかく今週末の大分戦と第18節の神戸戦でリーグ前半戦を終えることになります。後半戦も好調を持続するためには間違いなくスタイルの進化が必要になります。

 ここまでは堅守とそこからのショート、ロングのカウンターを含む「ダイレクトプレー(相手ゴールに向かうことを最優先とするボール運び)」という昨季から続くスタイルをJ1レベルへと向上する取り組みの中で勝ち点を重ねました。

■「ポゼッション」

 しかし、既に「上位チーム」となった福岡に対する相手は「J1の20位」とはみなさず、強い警戒のもと自らのスタイルを捨ててまで福岡の長所を消しに来ることが予想されます。極端に言えばロングボール主体の攻撃でハイプレスとショートカウンターを避ける手段を取るチームも出てくるということ。そういう自陣に引いて守る相手を崩すにはボールを保持しながら堅く組まれた守備ブロックの隙を探し、また隙をつくるための質の高い遅攻(ポゼッション・スタイル)が必要となります。

 もちろん、堅守速攻というこれまでのスタイルを捨てるつもりは長谷部監督にはなく、そのベースを維持、改良しながら持った上で、時間をかけてゴールの道筋をつくる手段も用いて勝ち点獲得を狙おうとしています。

 このダイレクトプレーとポゼッションのバランスの良い融合を長谷部監督は「プログレッション」という言葉で表現します。カウンターだけではない、でも遅攻に偏るわけではない。両方を状況に応じて使い分ける高度な戦術への取り組みがこれから始まるはずです。やすやすと成果が出ないだろうハイレベルな挑戦ですが、試合を見てその進捗(しんちょく)度を測る、という楽しみを皆さんも、ぜひ。

 ◆島田徹(しまだ・とおる)1965年3月28日生まれ。広島県出身。小学5年から福岡大1年までサッカーをプレーし、ボランチやサイドバックを務める。98年からサッカー専門誌の編集部に勤務し、アビスパの取材も開始。2008年から福岡拠点のフリーライターに。

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