甲斐、甲子園2発の朝に送られた気遣いあふれる母からのLINE

西日本スポーツ 山田 孝人

 ◆阪神2-10ソフトバンク(5日、甲子園球場)

 今年の交流戦ビジター8戦目にして、ソフトバンクがようやく勝った。しかも5月1日のオリックス戦以来となる2桁得点だ。立役者は甲斐拓也捕手(28)。6回に放った値千金の逆転2ランなど2本のアーチを甲子園に架け、先発のマルティネスら投手陣も巧みにリードした。今季デーゲームで負けなしだったセ・リーグ首位の阪神を退け、1分けを挟んだ連敗も4でストップ。重苦しい雰囲気は吹き飛んだ。さあ、ここから巻き返しだ!

9回にはソロ

 浜風を切り裂いた打球がホークスファンを歓喜に導いた。2点を追う6回に1点を返し、なお2死三塁。甲斐が2ボールからドラ2ルーキー左腕伊藤将の甘い直球を振り抜いた。白球が左翼席で弾む。甲子園では自身初の一発は逆転の6号V2ランとなった。

 「(先発の)マルティネスも我慢強く投げていた。何とか同点にと思っていたら、最高の結果になりました」と笑みがこぼれた。1分けを含む4連敗中の苦境で、5回までリードを許す展開。チームを覆う暗い雰囲気を見事に一掃した。

 甲斐にとって今季4度目の決勝打となった一撃が、4日まで今交流戦のビジター平均得点が2点の打線を復活させた。6回以降は毎回得点で、仕上げは9回、甲斐が再びアーチを架けた。左腕及川の外角低め直球をバックスクリーンへ。2017年7月19日の西武戦(北九州)以来4年ぶりの1試合2本塁打となる7号ソロで締めた。

 終わってみれば今交流戦で初の敵地勝利&2桁得点。立役者は「試合前からチーム全体で戦っていこうとみんなが一つになっていた」と謙遜するが、敗れれば今交流戦のビジターで8戦連続未勝利。球団初の屈辱の危機からチームを救った。

粘りのリード

 白星が遠い中、正捕手として強く責任を感じていた。4日の試合後も高い期待をかけられるがゆえに工藤監督からリードへの苦言を呈された。「もちろん、こういう状況が続けば責任を感じる。何とかしようとしているけど、結果的に良くなかったので」。指揮官のアドバイスを生かし、変化球を効果的に使ってマルティネスをリード。粘り強い投球を導いても「辛抱強く投げてくれました」。東京五輪代表の最終候補に入っている男は、ここでも功は人に譲った。

 女手一つで育ててくれた故郷大分の母小百合さんから5日朝、久しぶりにLINEが入った。「頑張りなさい。甲子園でホームランを打ってきなさいよ」。芳しくないチーム状況で責任を背負い込む性格の息子をおもんぱかったのだろう。これ以上ない形で気遣いに応えた孝行息子は「いつも見守ってくれていると思うし、そういう日に打ててよかった」とうなずいた。

 今季デーゲームでは16勝1分けだった阪神に土をつけた工藤監督も「よく打ったし、うまくバッテリーで抑えてくれた」と手放しでたたえた。工藤ホークスが、最高の形でビジターの呪縛を解いた。(山田孝人)

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