コロナ感染から初勝利 東浜が実感したありがたみ「自分も経験したからこそ」

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク8-4広島(9日、ペイペイドーム)

 右肩不調、コロナ感染、また右肩不調…。苦しみに耐えてきたソフトバンクの東浜巨投手(30)が、今季登板3試合目で初勝利を挙げた。3点リードを一度は追い付かれながらも7回4失点で粘った。得意のペイペイドームでは8連勝。昨季の開幕投手が大きな一歩をしるし、ソフトバンクは1分けを挟んで3連勝。パ・リーグ首位の楽天とのゲーム差を1・5に縮めた。

■3回まで完璧

 復活を告げる今季初勝利を苦しみの末につかんだ。「きょうは野手の方に勝ちをつけてもらった。感謝しかない」。東浜は4点を失ったが、今季最多123球で7回を投げた。9年目で通算50勝に到達。本拠地ペイペイドームでは2018年から8連勝で20勝目と節目づくしだった。

 この日最速151キロの真っすぐを軸に、3回まで走者を出さない抜群の立ち上がりだった。2点の追加点をもらった直後の4回。「点をもらった後だったし、何とか3人で終わらせたかった」という気負いが力みにつながった。無死一塁で西川に右翼テラス席への2ランを浴びると、さらに無死満塁と攻められて会沢の遊ゴロで追いつかれた。それでも後続を抑えて勝ち越しを阻止したことが、5回の大量援護につながった。

 筑後でのリハビリ中、自身と同じくもがき苦しんでいた後輩から「頭がこんがらがることはないですか」と聞かれた。最多勝や開幕投手も経験した右腕にすがるような質問にうなずきながら、自らに言い聞かせるようにして答えた。「マウンド上でいざボールを持ったときには無意識に投げられることが大事だよ」。考える時間がたっぷりとあるリハビリ期間は、自身との闘いだった。

 昨年末、新型コロナウイルスに感染した。容態が急変した患者のニュースはどうしても耳に入ってくる。プロ野球選手というよりも、一人の人間として不安に駆られながら年を越した。21年を迎えても、PCR検査で陰性反応がなかなか出ず、チームへの合流も予定より大幅に遅れた。

 さらに昨年痛めた右肩の状態は一進一退が続いた。「やっぱり難しい箇所ですね」。今季初の実戦に臨んだ4月2日のウエスタン・中日戦(タマスタ筑後)では左足首に打球を受けて緊急降板。復帰プランは狂った。「ぐちゃぐちゃとあったことも、なるべく考えないように過ごしていた」。愚痴をはきたくなるほどの苦難の連続にも辛抱強く、じっと耐えた。その先に、ようやく光が差し込んだ。

 昨年11月15日のロッテとのCS第2戦以来、約7カ月ぶりの本拠地。スタンドにファンの姿はない。「いつコロナ禍が終わるかも分からないし、苦しいこともある。自分も経験したからこそ、プレーできるありがたみを感じている。暗いニュースばかりだけど、少しでも元気づけられればいい」。苦しみを乗り越えた男は新たな決意を示した。(長浜幸治)

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