J1福岡の取締役に就任した「DMM.COM」COOの村中氏に聞いた将来ビジョン

西日本スポーツ 松田 達也

 ネット関連会社「DMM.com」の最高執行責任者(COO)で、J1アビスパ福岡の取締役に就任した村中悠介氏(41)が本紙のインタビューに応じた。ベルギー1部のシントトロイデンの経営に取り組みながら、アビスパの強化にどう携わるのか。今季の好調ぶり、今後のビジョン、福岡の街としての魅力などを聞いた。(聞き手、構成=松田達也)

 -チームは5年ぶりのJ1で5位と好調だ。

 「見ていて勇気をもらえる。クラブに興味を持っていただく方を広げていく上でも『勝てないチームだけど応援してください』というより自信を持って紹介できる。このタイミングでクラブに関われて良かった。全員が一体となっているサッカーの内容も素晴らしい。90分間、誰も足を止めずに走り続ける。その姿に心を打たれる」

 -好成績の経営面での影響は。

 「コロナ禍で難しい部分はある。今の調子なら、観客動員は増えたかもしれないし、(入場制限で)機会を損失している部分がある。耐える時期かなと受け止めている。試合前の雰囲気、試合後の空気感。やっぱり生で見てナンボですし、可能であれば、クラブに興味を持っていただいている方をスタジアムに連れていきたい」

 -改めてアビスパとの関係について。

 「2019年にシントトロイデンとアビスパが提携したことがきっかけ。交流を重ね、ビジョンを聞いて、一緒にやっていけるプロジェクトじゃないかと感じた」

 -取締役の就任発表から約2カ月がたった。

 「主に関東での仕事になる。(アビスパの社員が)頻繁に首都圏に出張して営業するのは難しい。自分たちが東京にいるので、フットワークは軽い。情報の受け渡しはしている」

 -クラブは首都圏のスポンサーを獲得したい。

 「『これから伸びるクラブを会社として応援したい』という方がいる。その皆さんにアビスパのビジョンを伝え、一緒にやれる方法を探している。短期間で結果を出すのは簡単ではないが、来季に向けて貢献できる部分は結構あるかな」

 -川森敬史社長は約26億円の売上高を目指している。

 「川森社長の覚悟を感じた。強くなるためのメッセージかなと。クラブも10位以内という目標を掲げている。目標を定めて向かっていかないと、到達するのは難しい。支援したい人を増やし、街としての盛り上がりをつくりたい」

 -福岡という街の魅力については。

 「自分の感覚では、東京の社長さんが出張で行きたい街ランキングのベスト3に入る。若い人の住みたい街ランキングで1位になることもある。魅力的な都市に魅力あるサッカーのコンテンツがあれば素晴らしい」

 -市民に愛されるクラブになるように。

 「取引のある福岡の方と話していると、ソフトバンクホークスの年間指定席を持っていると言われた。ホークスは勝敗に関係なく、九州で愛されるチーム。アビスパも人気はあるでしょうが、ホークスにはかなわない。ただ、その社長さんに『お子さん、お孫さんはサッカーをやっていますか』と聞くと『やっていますよ』と。サッカーの魅力、アビスパの魅力をどのように伝えていくか。クラブとしても考えないといけないかな」

 -シントトロイデンの経営にも携わっている。

 「シントトロイデンは人口約4万人の街で、若者は大都市を目指す。育成年代の選手が、(ベルギー)国内のビッグクラブに行きたがる。福岡は大都市で、サッカー人口も多く、指導者もいる。選手が伸びるにはいい環境がそろっている。そういうことも発信したい」

 -冨安健洋(ボローニャ)のように福岡から海外へ羽ばたく人材が出てくる可能性も。

 「クラブとしても自前で育て、地元で活躍してもらうという流れは大事になる。福岡で頑張れば海外に移籍できる、というチャンスを与えられるかもしれない。冨安選手が手本を示してくれた。選手には英会話のレッスンのサポートもしている。若い時期から海外に出て、体験して学ぶことは大きい」

 -今後のビジョンは。

 「『九州のクラブといえばアビスパ』となれば、将来的に強いクラブになる。今年はその土台をつくる1年になる。アビスパは地方のクラブだと思う方が多いが、都市のクラブだと考えている。みんなが憧れるシンボルになればいい」

 -経営面では。

 「J1昇格1年目の壁を越えたら、ブレークスルーの年になり、いい流れに変えられる。サポーターの熱も高まり、支援が広がるかもしれない。トップレベルの選手が『福岡でプレーしたい』となる可能性もある。奇抜なことは考えていない。サッカークラブの経営というのは驚くほど地味で…。今はクラブが好調でスタッフも忙しいが、ビジョンをはっきりと打ち出し、先のことを考えて一歩ずつ進みたい」

 ◆村中悠介(むらなか・ゆうすけ)1979年7月12日生まれ。北海道苫小牧市出身。2002年に「DMM.com」に入社。11年に取締役に就任し、18年6月から現職。17年11月に経営権を獲得したシントトロイデンのクラブ会長も務める。

動画配信などDMMとの相乗効果も

 アビスパ福岡は「DMM.com」と連携して、クラブ独自の動画配信やオンラインサロンの展開などを始めた。川森社長は「すごく協力的で、ポジティブなアイデアをいろいろと出していただいている。若年層の皆さんにクラブを知ってもらうきっかけにもなっている」と感謝を口にした。

 

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