112球緊急降板の東浜「今も野球ができるのは…」6月23日の黙とうに込める思い

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ロッテ1-1ソフトバンク(23日、ZOZOマリンスタジアム)

 沖縄出身のソフトバンク東浜巨投手(31)が右手指のけいれんのため、112球で緊急降板した。23日は太平洋戦争での沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」。思いを込めた粘りの投球を見せたが、同点の7回に先頭の安田への4球目に無念のアクシデントが起きた。打線は松田の同点ソロによる1点のみで、わずか一夜で貧打が再発。12球団最多の今季14度目のドローに終わり、3位に転落した。

毎年欠かさず黙とう

 7回。先頭安田への4球目の後、東浜は自らタイムを取りマウンド上で右手の人さし指、中指を伸ばすしぐさを見せた。トレーナーに付き添われベンチに戻ると、工藤監督は投手交代を決断した。「最後は途中降板という形になって悔しいし、中継ぎ陣にも申し訳ない」。20日に31歳を迎えたばかりの右腕は112球での緊急降板に無念さをにじませた。

 どれだけ粘られようと、どれだけ球数を重ねようと、集中力は切らさなかった。「序盤から球数が多くなり、良いリズムで投げられなかった」と振り返る通り、立ち上がりは我慢の連続。初回に角中の適時二塁打でいきなり先制を許すと、2回は結果的に三者凡退ながら26球を要し、追い込んでからのファウルは11球を数えた。2回までに球数は51球に達したが、大粒の汗を額に浮かべながら懸命に腕を振った。

 試合開始からおよそ6時間前。東浜は時計の針が正午を指すと宿舎で一人、静かに目を閉じていた。6月23日。沖縄にとって、そして東浜にとって特別な一日だった。太平洋戦争末期に起こった沖縄戦での犠牲者を追悼する「慰霊の日」だ。「今も野球ができて、こういう生活ができるのもつらい経験、つらいことがあった上で成り立っている」。毎年欠かさずに黙とうをささげている右腕は先人への感謝を胸に上ったマウンドだった。

 5、6回は三者凡退と尻上がりに調子を上げた中でのアクシデント。工藤監督は「けいれんです。指がきゅっと巻いた状態になっていて開かなかった。試合後は治っていたし、次は問題ない」と大事には至らなかったことを説明した。

 ちょうど4年前、2017年6月23日の西武戦は自身2度目の完封勝ちを飾った。それ以来、2度目となった「慰霊の日」の登板で快投の再現とはならなかったが、苦しみながらも最少失点で試合をつくった。

 チームは6月に入り6度目の引き分け。これで両リーグ最多の14度目だ。一夜で再び3位に転落するなど、チームはなかなか波に乗れない状況が続くが、指揮官は「先々、あの引き分けは大きかったとなることを僕は信じている」と前を向く。粘投でドローに導いた東浜の投球を無駄にはしない。(長浜幸治)

 

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