もう少し「宗像サニックスのレメキ」が見たかった 新リーグと九州ラグビーの行方

西日本スポーツ

 もう少し「宗像サニックスのレメキ」が見たかった。ラグビーのトップリーグ(TL)、宗像サニックスは12日、2019年のワールドカップ日本代表で活躍したWTBレメキ・ロマノラバら4選手の追加退団を発表した。活動規模の縮小方針で既に日本代表ロックのジェームス・ムーアら13選手とスタッフ7人の退団が発表されていた。

 レメキは新たなチャレンジを求めてTLのホンダから今季移籍したばかりだった。決め手は「サニックスのランニングラグビーを自分もやりたい」という思いだったという。

 福岡に本社を置き、「九州」を重点エリアとする西日本新聞・西日本スポーツのラグビー担当として、この移籍が発表された時、胸がワクワクしたことを覚えている。ようやく「九州ゆかり」の選手としてじっくりと腰を据えた取材ができると思ったからだ。

 ずっと気になる存在だった。2年前のワールドカップ(W杯)日本大会に向けた合宿に足を運んでいたが、取材対象の優先順位は、既に引退した福岡高出身の福岡堅樹さんなど九州ゆかりの選手。福岡出身のSH流大や鹿児島出身のCTB中村亮土、サニックスのムーアなど九州ゆかりの有力選手は多く、それだけでタイムオーバー。笑い声が絶えないレメキの囲み取材を横目で見ていた。

 合間を縫って取材したこともあるが、明るい性格で感情を表に出す姿勢が気持ちいい。練習の意図や狙いなども可能な限り、明かしてくれる。子どものために「日曜大工」に汗を流した話などラグビーとは離れた質問にも気さくに応じてくれる姿勢に引き込まれた。

 宗像サニックスの指揮を長く執った日本ラグビー協会の藤井雄一郎日本代表強化担当ディレクターにレメキの話を聞いたこともある。「ディフェンスもいいし、そつなくプレーできる。代表に入ってすごく成長した一人」と評価していた。さらにW杯日本大会では「(敗れた準々決勝の)南アフリカ戦が終わるまで酒を完全に断っていた」とストイックな一面も聞き、もっと彼を知りたいと思っていた。

 私の努力不足やコロナ禍に見舞われたこともあり結局、「宗像サニックスのレメキ」にじっくり取材をする機会はかなわなかった。今季のレメキは左太もも裏を痛めたことも影響し、トップリーグ出場は2試合にとどまった。不本意なシーズンに巻き返しの思いは強かっただろう。本人もまさか1シーズンでチームを離れることは考えていなかったはずだ。

 どこからでも攻めに転じるチームスタイルにレメキが完全に適応した時、チームにどんな化学反応が起きるか。それを見たかった。

 日本ラグビー界は転換期に入った。使命を終えたTLに変わって2022年1月に開幕する新リーグの準備が進んでいる。16日には会見がある予定で新リーグの概要や大会フォーマットなど発表されるが、1部が12チームで2、3部が各6チーム。チームの成績だけでなくホームスタジアムの確保や事業、育成などさまざまな観点から順位付けされる。活動規模を縮小する宗像サニックスが厳しい位置にいるのは間違いなく、レメキがさらなる飛躍を遂げるには新天地に行く選択が最善なのは理解できる。

 同じ福岡を拠点とするチームでは、新リーグへの参加を表明していたコカ・コーラが一転して今年限りでの廃部を発表した。国内ラグビー発展のための新リーグ。その動きによってさまざまな「地殻変動」はこれからも起きていくのだろう。九州のラグビー界に貢献してきた2チームが、こうした苦渋の決断を取らざるを得ない現実をどう受け止めるべきか。両チームとも地道な草の根活動にも力を入れてきた。地域バランスも含め、国内ラグビー発展のために何が重要なのか。どのタイミングで必要なのか。柔軟に検証し、対応し続けることが大事だと考えている。(大窪正一)

PR

ラグビー アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング