「周り凍るけんか」いっぱいでも…森保監督とコーチの固い絆

西日本スポーツ 末継 智章

 東京五輪サッカー男子日本代表の森保一監督(52)=長崎市出身=と横内昭展コーチ(53)=北九州市出身=が本紙のインタビュー対談に応じた。九州生まれでJ1広島出身の2人。二人三脚で金メダルを目指す固い絆の原点とは-。(聞き手・構成=末継智章)

1歳違い出会って35年

 -2人の出会いは1986年。35年の月日が流れた。

 森保監督(以下、森保)「高校3年のとき、僕が(J1広島の前身で当時日本サッカーリーグの)マツダの入団テストを受けた際に知り合った。横さん(横内)の車に乗せてもらって練習まで行きましたし、晩ご飯も連れて行ってもらった。かわいがってもらいました」

 横内コーチ(以下、横内)「最初は丸刈りで来たから覚えています。(森保)監督の実家にも、監督の奥さまの実家にも行った。なぜか監督は日本代表でいないときでしたけどね」

 -冗談を言い合えるほど互いの信頼を感じる。

 横内「(93年に)Jリーグになってから僕はけがが多く、なかなか試合に出る機会がなくて。もがいていると必ず声をかけてくるのが(森保)監督でした」

 森保「わらをもつかむ思いでいろんな治療をし、復帰を目指しているのをプライベートでも見ていた。マツダで試合に出始めた若手のころからポジションをつかもうという同じ思いで戦ってきた。だから励ましたかった」

 横内「一度ナビスコ・カップ(現YBCルヴァン・カップ)で点を決めたときがある。一番に電話をしてくれたのは、代表活動でいなかった監督だった。あのときはうれしかった」

 -森保監督が2012年にJ1広島を指揮し始めた際、前任監督とともに辞めようとしていた横内コーチを慰留した。

 森保「性格的に絶対的に信用できる人。アバウトな僕と違って繊細ですし、サッカーで起こりうる現象を正しく見ることができる。僕に違う見方や角度から反対意見をしてくれる人がいることで、正しい判断をしたいと思った」

 横内「チームが一新するところだったので少し離れた方がいいと思っていたけど、直接電話がかかってきた。『広島を本当に強くしたい』という熱く強い気持ちを持っている人。なかなか断ることができない」

 -五輪代表監督に就任した17年秋、迷わず横内コーチに頼んだ。

 森保「横さんは義理堅い。高校を卒業して広島一筋だったので離れるのは相当な抵抗があると思った。でも自分が代表監督になったときに、一緒にやってほしいということは伝えておこうと。ちょっとずつお願いして引き受けてもらった」

 -18年夏からフル代表と兼務。活動期間が重なると横内コーチが五輪世代の監督を代行した。

 横内「連絡は当然毎日しました。オンラインではなく電話。顔を見なくていい(笑)」

 森保「お互いに毎日何をしたのか確認し、次に進む感じ。友達のような付き合いだけど、仕事面での『報・連・相』はきっちりしてくださる。僕が活動に行けないときもあったけど手に取るように把握できた」

 -議論が熱くなり、けんかになったことは。

 森保「いっぱいあります。周りのスタッフが凍り付いていると思うけど…。僕が何か言ったら『いや、これもあるんじゃないか』と意見をちゃんと伝えてくれる。否定じゃない。僕が違う意見を求めているのを横さんも考えてくださって、思慮深く話してくれる」

 横内「殴り合ったことはないですね。時々、コーチ陣でミニゲームをしたら削られるぐらいです」

 森保「熱くなっても翌日にはお互い『すみません』と。いいおじさん同士でやっています」

メンバー構成に意見反映

 -横内さんの意見でチームの方向性に反映されている点は。

 森保「具体的には言えませんが、五輪のメンバーじゃないですか。横内さんが一番近くで選手を見て寄り添って戦った。僕が最終責任者ですけど、チームづくりをしてくれたスタッフの意見を最大限に尊重することが五輪に向けて一番いいエネルギーにつながる」

 -守備の要を担う吉田麻也は長崎、冨安健洋は福岡出身でお二人と通じるものがある。

 森保「2人ともフル代表の中心選手。高いレベルでやってくれていることを五輪の舞台で発揮してもらいたい」

 横内「お互いがお互いの良さを引き出してやれている。そういう関係でチームを引っ張っていってほしい」

 -広島で生活を長くした2人にとって、メダルを懸けた3位決定戦が行われる8月6日は特別な一日になる。

 横内「五輪は平和の祭典。参加する僕らが平和について考える責任がある。スポーツが満足にできない地域や国がたくさんある中で戦うことを感じながら、自分に何ができるか」

 森保「スポーツの中での平和は、ルール上で相手を尊敬した上で最善を尽くすこと。戦うわれわれが国民の皆さんに貢献できる存在だと分かってもらえるよう、ベストを尽くす。ピッチの上に立つのは8月6日ではなく(決勝がある)7日がいいですね」

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