「39歳をリアルに感じた」上野由岐子 視線の先に光「若い頃は自分もこんな感じだったな」

西日本スポーツ 末継 智章

 ◆東京オリンピック(五輪)ソフトボール 1次リーグ 日本3x-2メキシコ(22日、福島県営あづま)

 東京五輪ソフトボールの2戦目。39歳のバースデーに2試合連続で先発マウンドを務めたエース上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)=福岡市出身=が、若い力に救われた。7回に1点リードを追い付かれたところで降板した。だが20歳の左腕後藤希友投手(トヨタ自動車)がなお続いたピンチを無失点に抑え、チームも難敵メキシコに延長8回サヨナラ勝ちで2連勝。長年の課題だった「ポスト上野」に光明が見えた。きょう23日は開会式。開幕前からいろいろあった大会だが、いよいよ戦いが本格化する。

■「みんなで勝ち越した」

 1点リードの7回、2試合続けて先発マウンドに上がった上野が苦難を迎えた。四球と中前打で無死一、三塁。この試合の121球目は中堅へのライナーとなったが、山田が捕りきれず安打となった。同点となり、後藤にバトンタッチ。「体がいっぱいいっぱいだった。39歳をリアルに感じた」。自らのバースデー登板は手放しで喜べる内容ではなかったが、サヨナラ勝ちに胸をなで下ろした。

 本来なら五輪の開幕日だった昨年の誕生日。会場の福島県営あづま球場を訪れた。「復興五輪として福島の人たちがこの五輪を成功させようとしている。思いに応えるプレーをしたい」。1年後、誓いを立てた場所で力投した。メキシコ打線に対して6回まで1失点。抜群の制球力で10三振を奪った。

 伝説をつくった2008年の北京五輪から13年が経過した。「若い時みたいに寝たら元気になるというのはない。気持ちがすべてだと思っている」。39歳の体と真正面から向き合いつつ、なお日本のエースとして腕を振り続ける。今回は7回に追い付かれ、なお無死一、二塁の大ピンチを招いた。そこで日本を救ったのは、チーム最年少の20歳左腕だった。

 「上野さんがしっかりつないでくださったバトン。私が抑える」。後藤はピシャリと後続を断つと、無死二塁でスタートするタイブレークの延長8回も得点を許さない。2回で計5三振と、上野顔負けの奪三振ショーだった。

 サヨナラ勝ちを呼び込む快投を見せた後輩に、上野も「若いころは自分もこんな感じで全球全力だったな、と。力のあるボールを投げられるので期待していた」と目を細めた。「ポスト上野」が最大の課題だった日本のソフトボール界に差し込んだ光明。レジェンドも若い力の台頭を喜んだ。

 24日からは舞台を横浜に移し、1次リーグの残り3試合を戦う。「後藤がしっかり抑え、みんなで勝ち越した。チームにとって大きな勝利」。“エース頼み”を卒業した形の1勝に、上野の表情も明るい。「13年越し」の五輪連覇へ、チームの勢いは増すばかりだ。(末継智章)

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