元バレー代表・迫田さおり メディアで「伝える側」に回って気づいたこと、伝えたいこと

西日本スポーツ

バレーボール女子元日本代表・迫田さおりさんコラム「心の旅」

 好きな言葉は「心(こころ)」だという。バレーボール女子元日本代表のアタッカー、迫田さおりさんは華麗なバックアタックを武器に2012年ロンドン五輪での銅メダル獲得に貢献した。現役引退後は解説者などで活躍の場を広げる一方、コロナ禍が続く中、スポーツの魅力を発信しようと自身の思いをつづっている。

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 バレーはボールに託した想(おも)いをつなぐスポーツです。サーブを受ける人、トスを上げる人、攻撃のおとりになる人…。ポジションごとに役割があります。銅メダルを獲得したロンドン五輪。私は韓国との3位決定戦で最後の1点を決めたこともあり、多くの方に名前を覚えていただいています。ありがたい半面、アタッカーの誰しもが抱く本音は「私じゃない。つないでくれた仲間のおかげ」ではないでしょうか。

 得点したとき、コート脇で控えている選手やスタッフが両手を上げて喜んでくれるのが目に入ります。自分の1点のように喜んでくれる姿はアタッカーにとって、これ以上ないパワーになるんです。私自身、最もうれしいことでした。皆に喜んでもらいたいから決めたい、みたいな感覚です。

 4年前にユニホームを脱ぎ、女子日本代表の試合のテレビ解説で初めて「伝える側」の現場に携わりました。映像を編集する方々は試合会場の別室が作業場。それでも1点を取るごとに、まるで自分のことのように喜んでくれている。選手って幸せだなと実感しました。メディアも含めて「勝利」を目指していることに気付かされました。

 東京五輪で女子の初戦は25日のケニア戦です。私はNHKでコメンテーターを務めさせていただきます。コロナ禍で無観客になったのは残念です。一方で今までバレーを見たことがない方も、テレビで観戦する機会があるはず。五輪はすごい大会。どこか何かが違う。言葉にするのは難しいからこそ、シンプルに伝えられたらいいなと思います。

 滋賀の東レでプレーしていた現役時は鹿児島の実家とほとんど連絡を取っていませんでした。家族も気遣ってか、そっと見守ってくれました。解説者の方のコメントが家族の支えになっていたそうです。ある意味、私と家族をつないでくれていたのですね。解説のお仕事をさせていただく上でバレーファンへ向けてはもちろん、ご家族にも選手の想いを届けられたらすてきだなと考えています。

 先日、テレビ番組の企画で竹下佳江さんをはじめ、ロンドン五輪のメンバーがコートに集まりました。久しぶりにボールをレシーブして、両腕の内側が真っ赤になりました。こんなに痛かったんですね。バレーを初めてやった人が「痛い!」と顔をしかめることを思い出しました。日々の積み重ねは大事。「継続は力なり」を再認識しました。

 日本女子バレーの面白さや醍醐味(だいごみ)はラリーが続くことだといわれています。長いラリーを制する裏には、アタック以外にもポイントになるプレーや動きが必ずあります。速くて多彩な攻撃を掲げている日本代表にとって、東京五輪のエッセンスは「つなぎ」だと予想しています。

 手に汗握るラリーで点を取り切ると一気にムードは高まり、見ている方も胸が熱くなります。一瞬一瞬の目つきなどから選手の本気が伝わり、人を魅了します。言葉以上の何かが伝えられる。そこがバレーボールの素晴らしさだと思います。(バレーボール女子元日本代表)

 ◆迫田(さこだ)さおり 1987年12月18日生まれ。鹿児島市出身。小学3年で競技を始め、鹿児島西高(現明桜館高)から2006年に東レアローズ入団。10年日本代表入り。バックアタックを武器に12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪出場。17年現役引退。身長176センチ。スポーツビズ所属。

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