昔ソフト少年→今ハンド代表の中心 ついに五輪選手誕生、全国に広がる「才能発掘」プロジェクト

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加 末継 智章

 福岡県のタレント発掘事業から五輪選手第1号が誕生した。東京五輪のハンドボール男子で日本の部井久(べいぐ)アダム勇樹(中大)=福岡市出身=はチームの中心として奮闘している。

 24日に1次リーグ初戦のデンマーク戦に出場。試合は敗れたものの前半にチーム初得点を挙げ、後半は持ち味の高い打点からのシュートも決めた。「タレント発掘がなければハンドボールに出合えていなかった」と感謝の気持ちを胸にコートに立っている。

 同事業は、県が体育協会や競技団体と協力し、運動能力の高い県内の小中学生の適性競技を見いだし、英才教育する取り組み。全国に先駆けて2004年度に始まり、「福岡モデル」として全国に広がっている。

 クリケット選手だったパキスタン人の父と日本人の母の間に生まれた部井久は、ソフトボールに熱中していた小学4年でタレント発掘事業に参加した。さまざまな競技で最高レベルの適性を示した中、特に目を引いたのが、肩の強さ。中学生の時の県立スポーツ科学情報センター(アクシオン福岡)でのハンドボール投げのテスト。ボールが浮き上がるような軌道で体育館の端から端に投じられた。

 タレント発掘実行委員会の前事務局長の中山純治さん(現鞍手竜徳高教頭)は、「ホップした。いろいろな子を見てきたが、初めてだった」と当時の衝撃が忘れられない。陸上関係者からは「やり投げで五輪のメダル級だ」と絶賛された。

 その中で「スポーツのさまざまな要素を持っていて見てもやっても楽しい」とハンドボールを選んだ。多々良中央中入学から本格的に始め、博多高3年時には日本代表入りを果たした。

 東京五輪にはラグビー7人制女子の梶木真凛(自衛隊)=福岡市出身=も代表入り。フェンシング女子の福島史帆実(セプテーニ・ホールディングス)=福岡県宗像市出身=は補欠に登録された。これまで約400人の修了生を送り出した同事業は18年目で念願がかなった。同実行委員会の小松佐歳事務局長は「オリンピアン(五輪選手)は一つの目標だった。非常にうれしく思うし、事業の成果を認めていただけたらと思う」と喜びをかみしめた。

 24日は部井久が得点したことが分かると、アクシオン福岡の職員から歓声が上がったという。26日には強豪のスウェーデンと対戦。部井久は「厳しい戦いが続くが、予選突破という目標があるので、それに向けてしっかりやらないといけない」と誓った。(伊藤瀬里加、末継智章)

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