最後は抱き合って号泣 周囲が驚く口論も…ソフト上野と宇津木監督の関係

西日本スポーツ 西口 憲一 末継 智章

 ◆東京オリンピック(五輪)ソフトボール決勝 米国0-2日本(27日、横浜)

 13年前と同じポーズで歓喜を迎えた。ナインに囲まれた上野が右手の人さし指を天に向ける。最終回を三者凡退に仕留め「上野の413球」で頂点に立った2008年北京五輪に続く宿敵を撃破。「諦めなければ夢がかなうということをたくさんの方に伝えられた」とエースの使命を果たした開放感に包まれた。

 13年前の決勝と同じオスターマンとの先発対決。「このマウンドに立つために13年間いろんな思いをしてきた。投げられなくなるまで絶対投げてやる」と、感情と技術を一球一球に込めた。制球を乱した初回こそ三塁まで進まれたが、緩急をつけて後続をシャットアウト。一度は後藤にマウンドを託したが、最終回に戻った後も米国打線を完璧に封じ込めた。

 3大会ぶりの競技復帰が決まり、集大成の舞台となった東京五輪。1年延期にも動じなかった。「ソフトボール人生にもう悔いはないが、個人的な感情だけで『やめたい』はない。金メダルは使命。そのために頑張れている」。その使命を果たすため、宇津木監督も本音でぶつかった。

 19年春に打球を受けて顎を骨折し、今春は右脇腹を痛めた。「打球をよけられないのは実戦勘が乏しいから。故障もフォームに原因がある」。宇津木監督は全ての事象の原因を突き詰めさせた。「上野とは心と心の会話」と呼ぶその過程では、周囲が驚くほどの激しいやりとりもあった。

 上野は「意見が食い違うこともあったけど、それで嫌いになるような信頼関係ではない」と明かす。「彼女は日本の宝だけど、『永遠のプレーヤー』のままでは成長はない。『自分を指導』できるようにならないと」。宇津木監督は上野に新境地を求めていた。

 39歳の誕生日だった22日のメキシコ戦で七回途中に降板し「39歳をリアルに感じた」と漏らしたものの、蓄積した経験と技術でカバー。北京の決勝で1失点した米国に無失点し、監督の信頼に応えた。4試合に先発した東京五輪での「上野の389球」は新たな伝説となった。

 試合後、宇津木監督と抱き合うと号泣した。「(宇津木)麗華監督が日に日にプレッシャーで押しつぶされちゃうんじゃないかという姿を見て、少しでも力になりたいと思っていた。最後に恩返しができて本当に良かった」。抱きしめる両腕に力がこもった。(末継智章、西口憲一)

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