侍ジャパンに劇勝を呼び込んだ柳田悠岐 王会長も「正解だった」と感謝した大学時代の指導法

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆東京オリンピック(五輪)野球 1次リーグA組 日本4x-3ドミニカ共和国(28日、福島)

 野球1次リーグA組の侍ジャパンが劇的なスタートを切った。福島県営あづま球場(福島市)での開幕戦でドミニカ共和国に4-3で逆転サヨナラ勝ち。2点を追う9回、柳田悠岐外野手(ソフトバンク)の内野安打を皮切りに、甲斐拓也捕手(同)の同点スクイズなど小技も交えて3点を奪った。「6番中堅」でフル出場した柳田は7回にも豪快な二塁打を放つなど、右脇腹の不安も一掃。球場を訪れたソフトバンク王貞治球団会長に代名詞のフルスイングをプレゼントした。31日の次戦はメキシコと対戦する。

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 2点を追う9回1死。土壇場の打席でも、柳田は全くぶれなかった。相手右腕の2球目を迷いなくフルスイング。「変わらず、どんどん振っていこう」。一、二塁間のゴロを一塁手が捕球したが、投手のベースカバーが遅れて内野安打。ここからドラマが始まった。

 3連打で柳田が生還すると、甲斐のスクイズで同点。最後は坂本が中越えの一打で勝負を決めた。「チームが一つになりました」。大事な大会初戦で劇的な逆転サヨナラ勝ち。柳田はベンチから飛び出すと、同じ1988年生まれのヒーローのもとへ駆け寄った。

 7回には先発のメルセデス(巨人)から左翼フェンス直撃の二塁打。こちらもフルスイングで好機を拡大して得点につなげた。大会直前は右脇腹の違和感で別メニュー調整。コンディションが不安視されたが、「6番中堅」でフル出場し、バットでも不安を一掃した。

 野球では唯一の福島での試合。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とともに、試合前セレモニーに参加したソフトバンク王貞治球団会長に「頑張れよ」と励まされた。代名詞のフルスイングは、王会長との不思議な縁から生まれたものでもある。

 伝統校の広島商高では甲子園出場を果たせず、大学進学の際は関東の強豪校のセレクションに落ちた。反骨心とともに進んだ広島経大で出会ったのが、広島などで通算60勝を記録した龍憲一さん(84)。通算868本塁打を誇る王会長に13本のアーチを献上した投手だった。

 入学時は細身だった柳田の粗削りなスイングに、龍さんは王会長に通じる「アーチスト」のにおいを感じた。同大の監督として一つだけ授けたアドバイスは「三振してもいいから、力いっぱい打つことだけは忘れるな」。才能を大きく育てた指導に、王会長は後に「それが正解だった」と感謝することになる。

 野球では2008年北京大会の中国戦以来、4726日ぶりの五輪星。日本は白星発進した過去の五輪で全てメダルを獲得している。目標は1984年ロサンゼルス大会以来の金。自身が成長を遂げた時期を「18歳ぐらいから32歳ぐらい。年々と」と笑う32歳のスラッガーの挑戦が始まった。(鎌田真一郎)

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