「スカウトの方ですか?」「そうですよ」名刺を見たら「そっちかー」

西日本スポーツ 大橋 昂平

【記者コラム】

 心の中で小さくガッツポーズした。ある地方大会でスタンド取材をしながら、プロ野球チームのスカウトと思われる方を見つけた。「すみません、スカウトの方ですか」と声をかけてみると「はい、そうですよ」と返事をもらったからだ。

 記者1年目の私にとって初めての高校野球取材。原稿で「プロ注目」と書くには裏付けとなる声が欲しい。一方で、顔が分からないスカウトを探すのは困難と思っていた。さっそく名刺交換すると「大学野球部監督」という文字が。「そっちか―」と思いつつ、好素材を探すのはプロも大学も同じなんだと感じた。

 私も6年前まで高校球児だった。取材を通じて印象に残ったのは投手の球種だ。試合後に話を聞くと「ツーシームやカットボールで打たせて取りました」と答える選手が多かった。以前はカーブやスライダーなどが主流で、小さく動く速い変化球を投げる投手はあまり見なかった。わずか数年でトレンドが変わっていることに驚かされた。

 慣れない取材に加え、猛暑の厳しい環境だったが、うれしいこともあった。大会前、初めて取材に行った東明館が佐賀県大会を勝ち抜き、春夏通じて初の甲子園出場を決めたことだ。先輩から「いい選手がいるから話を聞いてきて」と指示され、何も分からないまま学校に向かった。

 何とか取材を終え、記事を掲載した数日後、東明館の豊福監督から「すばらしい記事をありがとうございました」と連絡を頂いた。「記事にすることで喜んでくれる人がいる」。初めてもらった取材相手からの反応に自然と口角が上がった。味わったことのないこの感覚は一生忘れることはないだろう。

 九州の地方大会が幕を閉じ、私も8月から筑豊総局に転勤する。取材した球児たちが甲子園で活躍する姿を見られないのは歯がゆいが、甲子園を目指して白球を追う姿に力をもらった。新天地でも球児に負けない「全力プレー」に励みたい。(大橋昂平)

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