浜田尚里の強さの根源 コーチ証言「他の選手はもたない。けがをする」

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆東京オリンピック(五輪)柔道 女子78キロ級決勝(29日、東京・日本武道館)

 開始1分すぎ、浜田は腹ばいになろうとしたマロンガを捉えた。「絶対に逃がさない」。崩れ上四方固めに相手は動けない。2019年、同じ日本武道館で開催された世界選手権の決勝で敗れ、ここまで2勝4敗と負け越していた相手に金メダルを懸けた闘いで雪辱。「今回は絶対に負けないという気持ちで闘った」と涙をにじませた。

 この階級で日本勢の頂点は04年アテネ五輪の阿武教子以来4大会ぶり2度目で、メダル自体も4大会ぶり。30歳10カ月での金メダルは、北京五輪で男子66キロ級を制した内柴正人の30歳1カ月を上回り、男女を通じて日本勢最年長記録となった。

 今大会の日本人で初めてのオール一本勝ちを果たした浜田が進化を見せつけた。得意の寝技だけではなく大内刈りや隅落としなど立ち技が光った。「研究されてもその上に行けるように練習してきた」。身長169センチはこの階級では小柄。リーチで勝る相手を想定し、男子と稽古を重ねた。

 自衛隊入隊後は練習パートナーも務める池田ひとみコーチと「一からだった」立ち技を地道に鍛えた。粘り強さと体の強さが武器。若い頃はトレーニング、技術練習、出稽古での実戦を1日ですべて行い、池田コーチが「他の選手は持たない、けがをする」という練習量をこなしてきた。

 池田コーチに「絶対、世界選手権や五輪に出られる」と励まされ、「だんだんその気になった」。特にリオデジャネイロ五輪に届かなかった後は「まだ浜田の柔道は完成されていない」と言われ、東京への道を歩んだ。

 武道の聖地で示した確かな存在感。「まだ技術はよくなる。もっと強くなれる」と言い切った。異色の柔道家は、まだまだ進化の途上だ。(伊藤瀬里加)

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