5年越し悲願の金メダル 柔道・永瀬貴規はマジメ一徹、卒論まで競技一筋でも…意外な一面に親近感

西日本スポーツ 大窪 正一

【記者コラム】

 東京五輪で日本柔道が発祥国にふさわしい大活躍を演じた。史上最多だった2004年アテネ五輪の8個を上回る9個の金メダルを獲得。5年前の16年リオデジャネイロ五輪で取材を担当した記者として、胸のつかえが取れた思いになったのが、男子81キロ級の永瀬貴規(旭化成)の金メダルだった。

 リオデジャネイロ五輪では金メダルの本命。当時、稽古で汗を流していた筑波大に顔を出した。練習好きの努力家で、世界のライバル分析を卒業論文のテーマにするほど研究熱心。普段は無口で、感情を表に出さない「優等生」の人間くさい一面も知りたかった。

 真面目一徹の印象が変わったのが、お笑い好きと知った時。「たまに浅草に無名芸人の寄席を見に行きます。仲間内では、ボケたりツッコんだりもしますよ」と照れ笑いした。ダウンタウン松本人志さんはじめ、人見知りだというお笑い芸人は少なくない。人前で話すのが苦手な分、いつも「どう表現すれば伝わるか」を真剣に考え、工夫する。だから客観的に自分を俯瞰(ふかん)するのが得意。永瀬もその類いなのかも…。意外な一面に親近感が湧いた。

 井上監督に促され、17年には単独での欧州武者修行を敢行。永瀬は1週間に1度、リポートを書いて提出していた。井上監督が語った「意外と文章能力にたけていてユニーク」という評価に、点と点が線で結びついたような気持ちになったのを覚えている。

 リオ五輪は準々決勝で敗れ、敗者復活戦で3位。海外勢の層が厚いこの階級で日本勢4大会ぶりのメダルを確保したが、笑顔はなかった。首にかけた鈍く輝く銅メダルを悔しげに見つめる表情が忘れられない。「このままで終わりたくない。東京五輪で笑いたい」。あれから5年。会心の笑みを浮かべる永瀬の表情を見た。苦難を乗り越えた金メダルロード。どう過ごし、何を考え、何を感じたか。彼のお笑いセンスあふれるリポートを読んでみたい思いに駆られている。(大窪正一)

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