内出血を重ねた侍ジャパン甲斐拓也の強さ ワクチン打って何食わぬ顔「いつもの痛みに比べたら」

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆東京オリンピック(五輪)野球 準々決勝 日本7x-6米国(2日、横浜)

 延長10回1死二、三塁、甲斐が初球のスライダーを打ちにいった。

 「いろいろ考えられる状況で、稲葉監督の話を聞いて、頭を整理して打席に入れた。外野手が1人、内野に来ていたので何とか初球から振りにいこうとした結果、ああなった」。初戦のドミニカ共和国戦で9回に同点セーフティースクイズを決めた男の打球は右翼フェンスに直撃した。甲斐が一塁ベース上でガッツポーズを繰り出すと、気付けばチームメートの歓喜の群れにのみ込まれた。

 無死一、二塁から始まる延長タイブレーク。途中出場の甲斐が栗林(広島)を好リードして無失点に抑えた。甲斐は「栗林がゼロで抑えたことが勝ちにつながった。初球からしっかりと自分の球を投げてくれた。ナイスピッチング。全員が諦めずに戦った結果」と振り返った。

 2017年の稲葉ジャパン発足以来、全ての国際試合に招集された。「キャノン」と称される強肩以上に、指揮官が買っていたのはブロッキング。だが代償は大きい。防具で覆いきれずワンバウンドやファウルチップが当たる内太ももや脇腹は、時にボールの痕がくっきり残り、内出血を重ね黒ずんでいる。

 侍入りが内定後、6月中に1度目の新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた。周囲から体調に異変があれば試合出場も慎重に判断するように言われたが、何食わぬ顔でマスクをかぶった。「いつもの痛みに比べたら、なんてことはなかった」。常日頃の過酷さを物語る。そして五輪で攻守に躍動している。

 サヨナラのお膳立てをしたのもホークスから来た侍だった。先頭で村上(ヤクルト)の代打に送り出されたのは、五輪でここまで出場がなかった栗原。「早く試合に出たい」。そう語っていた「ユーティリティー侍」が、初球でしっかり送りバントを決めた。甲斐の一打も初球。わずか2球で勝利を呼んだ。

 3連勝で、また一歩、公開競技だった1984年ロサンゼルス五輪以来の頂が近づいた。甲斐は「金メダルを取るためにやっている。それまでは毎日が切り替え」と語る。次の相手は宿敵韓国。甲斐は「勝つだけ。そのために準備をして、いい形で入れるようにしたい」と先を見据えた。(鎌田真一郎)

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