侍ジャパン梅野隆太郎を突き動かす原動力 小4で亡くした母と、男手一つで育ててくれた父への思い

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆東京オリンピック(五輪)野球 準々決勝 日本7x-6米国(2日、横浜)

 日の丸を背負う喜びをかみしめて東京五輪の大舞台に立った。2日、準々決勝で米国と戦った野球日本代表。福岡県那珂川市出身の梅野隆太郎(阪神)は先発捕手として今大会初出場した。福岡工大城東高時代から向上心の塊だった30歳。突き動かした原動力が今は亡き母、男手一つで育ててくれた父への思いだった。

 身長173センチ、体重75キロ。プロ野球選手として小柄な部類だ。それでも中学時代から投げれば100メートル近く、打撃でも力強い打球を飛ばした。高校時代の監督で、現在は東海大福岡高で指導する杉山繁俊監督(64)は強烈なプロ志向の言動が印象に残っている。

 入学後、試合で起用すれば先輩に遠慮せず要求を突きつけた。「それ以上言うと(先輩後輩関係が)うまくいかねえぞ」と杉山監督が肝を冷やすほどだった。寮生活では寮母が「夕食を食べていない子がいる」と探すと室内練習場で打撃練習していたり、外灯の明かりで素振りをしていたり。

 「プロで通用するには何が必要ですか?」と杉山監督に質問したこともある。「信頼されること。投手から梅野、梅野と言ってもらえること」。巨人の原辰徳監督と東海大時代に三遊間を組んだ経験もある杉山監督の助言をかみしめた。

 少しでも早く成長したい理由があった。小学4年の時に母の啓子さんを卵巣がんで亡くした。梅野がプロ野球選手になることを望んでいた。男手一つで育ててくれている父の義隆さんを早く楽にしたい思いも強かった。「家のこともある」。その言葉の重みが杉山監督の耳に残っている。

 福岡大を経て2014年に阪神入り。人気選手となった有言実行の男は、追加招集で初の代表入りも果たした。「緊張した」と振り返る米国戦は田中将大(楽天)や千賀滉大(ソフトバンク)などをリード。好投した千賀に「梅野さんがどんなワンバウンドでも止めてくれたおかげ」と感謝される五輪デビューとなった。(鎌田真一郎)

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