侍ジャパン最年少21歳、村上宗隆が戦う意味 傷ついた故郷への思い、大舞台を逃した悔しさも胸に

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆東京オリンピック(五輪)野球準決勝 日本5-2韓国(4日、横浜)

 「復興五輪」の理念を掲げる東京五輪で、野球の村上宗隆(ヤクルト)=熊本市出身=は2016年の熊本地震で傷ついた故郷への思いを胸にプレーしている。韓国を破った準決勝は3回に右前打で出塁して先制のホームを踏み、4回にも中前打と活躍。チーム最年少の21歳は「勝って終われるようにチーム一丸で頑張る」と7日の決勝を見据えた。

 九州学院高(熊本)2年だった16年4月14日夜。練習を終え、自転車で熊本市内の自宅に帰る途中に「前震」に遭った。「思い出すのも嫌になるぐらいの出来事だった」。波打つ道路に足がすくみ、親に電話して車で迎えに来てもらった。

 春の九州大会出場が決まっていながら、練習もままならない日々。練習再開後も、石垣などが崩れた熊本城の姿に胸が締め付けられた。同校前監督の坂井宏安さん(64)は「多感な時期に熊本地震を経験して、ふるさとを思う気持ちは人一倍強い」と明かす。

 高1夏の熊本大会初戦で満塁本塁打を放ち「肥後のベーブ・ルース」と称された。高校通算52本塁打も記録したが、甲子園出場は1年夏の1度だけ。坂井さんが「あの子は順調に来た子じゃないから」と話すように、熊本地震後は甲子園での活躍で地元を元気づけることはできなかった。

 同学年で早実高(東京)の清宮幸太郎(現日本ハム)らが脚光を浴びる中、高3時には18歳以下日本代表から漏れた。これを知った日、村上は進路をプロ一本に絞った。プロ選手を何人も育てた坂井さんは「ライバルはもう彼らじゃない。プロで試合に出るには、5歳、10歳、20歳上のベテランやスター選手に勝たないと」と伝えた。

 決意を胸にドラフト1位でヤクルトに18年に入団。高卒2年目でのプロ野球記録に並ぶ36本塁打を放った19年に、熊本城復旧のための寄付を本格的に開始。28本塁打を放った20年からは「自分が打つことで喜びを与えられたら。もっと故郷に恩返ししたい」と本塁打1本ごとに一定額(金額は非公表)を寄付する。今季も既に26本塁打を放っている若きスラッガー。決勝でも熊本への思いを豪快な打撃で表現する。(鎌田真一郎)

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