選手1人1人を抱擁 涙の森保監督が、見ている人に伝えたかったこと

西日本スポーツ 末継 智章

 ◆東京オリンピック(五輪)サッカー 男子3位決定戦 日本1-3メキシコ(6日、埼玉スタジアム)

 最後まで諦めなかった日本イレブンを森保一監督(52)は一人一人抱擁し、背中をたたいた。

 53年ぶりのメダルにあと一歩で届かず4位。それでも涙を浮かべ、言葉を詰まらせながら「選手たちの五輪に向けての努力は1ミリたりとも疑う余地がない」とたたえた。

 メキシコと銅メダルを懸けた6日は76年前に広島に原爆が投下された日。「コロナ禍で平和と言えるか分からないが、平和だからこそスポーツができる。そして自分の好きなことができる」と試合後に訴えた。長崎で育ち、高校卒業後は広島で選手や監督として長く生活。J1広島の監督時代はホームゲーム前日に泊まるホテルが平和記念公園に近く、訪れるのが習慣だった。午前8時15分。黙とうをささげて試合に臨んだ。

 「8月6日午前8時15分と8月9日午前11時2分。人生の多くの時間を世界で二つしかない被爆地で過ごす中で自然と平和について考えるようになった」。平和の祭典とうたわれる五輪だからこそ、2017年の五輪代表監督就任後、金メダルの目標とともに自分しかできない役割を考えた。

 サッカーの中で平和をどう伝えるか。森保監督は二つの方法を説いた。「スポーツにはルールがある。競うことは憎み合うことではない。相手を尊重し、最善を尽くして戦うこと」。不必要に倒れて時間を稼ぐことを良しとしなかった。

 その上で選手には粘り強いプレーを求めた。「被爆で今も苦しんでいる人がいる。自然災害や人的災害で苦しんでいる方々も同じ。われわれがどんなに苦しいときもタフに粘り強く、一丸となって最後まで戦い続けることがメッセージになる」。ひたむきにボールを追って体を張る林大地(鳥栖)を5試合も先発させたのが象徴。0-3から勝利を信じて1点を返した選手たちを「歯を食いしばって銅メダルをつかむ気持ちで、足を止めずに最後まで戦ってくれたことを誇りに思う」と称賛した。

 18年夏からはフル代表の監督も兼務。広島で選手、指導者としてともに戦った横内昭展コーチ(53)=北九州市出身=とフル代表でもコンビを組み、一貫した戦術を練り上げたことが2大会ぶりのベスト4につながった。

 ピッチで涙を流した久保建英レアル・マドリード)、冨安健洋(ボローニャ)=福岡市出身=はフル代表でも主力になった。来年のワールドカップ(W杯)に向けたフル代表のアジア最終予選は9月に始まる。「この悔しさを糧に成長してほしい」。この「8・6」も忘れてはならない日になった。(末継智章)

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