宮崎商辞退…これ以上、何をすれば

西日本スポーツ 前田 泰子

【記者の目】

 コロナ禍での甲子園でチーム内での感染が拡大した宮崎商が出場を辞退した。「ついに恐れていたことが」とやりきれない思いがした。

 春の選抜大会前から宮崎商は感染対策には細心の注意を払っていた。県立高ということもあり、コロナ禍の練習にはさまざまな制約もあった。宮崎県独自の緊急事態宣言が出た2月は学校で練習できず、学校近くの河川敷で個人練習をしていた。夏の大会直前まで練習試合も組めなかったという。そんな中、52年ぶりの春夏連続出場を果たしたのは本当にすごいこと。1回戦で敗れた春を糧に夏を目指して頑張ってきたナインの心情を思うと本当にやりきれない。

 運営側は感染対策のガイドラインを決めて出場校に指導してきた。宮崎商の感染防止対策についても「違反はなかった」としている。厳重な対策をしてきたのに感染が広がるのでは、これ以上、何をすればいいのかと話を聞きながら感じた。

 食事や練習場、風呂などで厳重な対策をしてきただろうが、宿舎でエレベーターに乗る人数などは決めていたのだろうか。雨天順延が続き、宿舎での生活が長引く不運もあったが、ガイドラインに明記されていない死角があったのかもしれない。

 春夏の甲子園大会が中止になった昨年の夏に、選抜大会に選ばれた32校を招待して開かれた甲子園交流試合の方が感染対策は厳重だった。開会式は初日のチームのみ参加。宿舎入りする日も試合日によって決められていた。開幕前から昨夏よりも感染者数は悪化していた。今回も試合直前に宿舎入りすれば宿舎での集団感染は免れただろう。

 感染状況や、予想外の長雨と事態は刻一刻と変わっている。「今後もガイドラインに沿って」と強調する運営側の言葉にどこか違和感を感じた。

 宮崎商の辞退を聞いたとき、宮崎大会決勝の後の光景を思い出した。決勝で宮崎商に敗れた延岡学園の選手が帰りのバスをわざわざ降りて、宮崎商の選手や保護者が集まっていた所にやってきた。両チームで健闘をたたえ合い、記念写真を撮ったりした後「頑張れよ」「優勝しろよ」と延岡学園の選手たちは口々に呼びかけながらバスに乗って球場を後にした。

 延岡学園など宮崎県の全チームの思いをも奪った新型コロナウイルス。辞退するチームがこれ以上増えないよう祈るしかない。(前田泰子)

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