同じ障害、同じポジションの兄の分も 車いすラグビー・乗松聖矢

西日本新聞 松田 達也 帖地 洸平

 車いすラグビーで2016年リオデジャネイロ大会に続いて出場した乗松聖矢(31)=SMBC日興証券、熊本県荒尾市出身=が、2大会連続のメダル獲得に貢献した。直前で東京大会のメンバーから外された兄隆由(たかゆき)(34)=AIGジャパン・ホールディングス=の思いも背負って戦った。

 男3人の兄弟で、長男の隆由と三男の聖矢がともに手足に力が入らなくなる神経の障害がある。父の康浩さん(61)は「どうして2人とも(同じ病気)なのかという驚きはあった」と振り返る。

 最初は兄が車いすバスケットボールを始め、弟が後を追った。弟が車いすラグビーのチームに誘われて23歳で競技を始めると、IT関連の仕事をしていた兄が続いた。乗松は熊本市を拠点に練習し、福岡市のチーム「福岡ダンデライオン」にも所属。兄について「同じ障害があってポジションも同じ。いいプレーをすればうれしい半面、負けたくない」と意識する。

 そろってパラリンピックでの活躍を目指したが、兄は本番直前で代表から外れた。「頑張れよ」。7月の代表合宿を終えた後に声を掛けられた。「兄に金メダルをかけたい。その思いが踏ん張る原動力になる」。兄の無念を受け止め、今大会は攻守に奮闘した。

 母の尚美さん(61)は「聖矢は遠慮があったのか、メンバー入りしても心から喜んでいる様子はなかった。その思いは隆由も分かっている」と語る。新型コロナウイルスの感染状況が一時落ち着いていた昨秋には、両親の還暦祝いとして家族5人で熊本県内に温泉旅行に出かけた。

 メダルは獲得しても初の優勝を逃し、乗松の喜びは控えめだった。「支えてくれた家族に感謝したい。金メダルを約束していたので、次こそはと伝えたい」。さらなる成長を誓った。

 (松田達也)

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