金メダルに新事実 ソフト上野由岐子は東京五輪で新球種を封印していた

西日本スポーツ 末継 智章

 東京五輪のソフトボールで金メダル獲得に貢献した上野由岐子(ビックカメラ高崎)=福岡市出身=が本紙の単独取材に応じ、日本中を感動させた激闘を振り返った。2008年北京五輪で初優勝した際のブームが一過性に終わった苦い経験を踏まえ、上野は9月4日に再開される日本リーグ女子に競技の魅力を伝える使命感を胸に臨む。(末継智章)

   ◇   ◇

 東京五輪は全6試合のうち4試合に先発。上野は登板を重ねるごとに調子を上げた。1次リーグはオーストラリアとの初戦で5回途中1失点。メキシコとの第2戦は7回途中2失点、カナダとの第4戦は6回無失点と踏ん張り、ともに延長タイブレークの末のサヨナラ勝ちを導いた。

 「オーストラリア戦もメキシコ戦も苦しい展開だったし、カナダにも1-0。苦しい中でも勝ち星を積み重ねられたことで一体感が増した。金メダルを取れたことは一人一人にとって大きな財産になる」

 1次リーグ最終戦で敗れたライバル米国との決勝も先発。後藤希友(トヨタ自動車)に一度マウンドを譲ったものの、最終回にリエントリー(再出場)して無失点。13年前の北京五輪に続く「胴上げ投手」になった。

 「今回は直球の質がすごく良く、他の球種も生きた。(ドロップやシュートも)打者に応じて、曲げたいところで曲がるタイミングを変えるよう投げ分けた。特に決勝は手応えがあった」

 昨年から取り組む新たな球種もあった。ボールゾーンから入ってきてストライクになる横のカーブ。今春の日本リーグでも試したが、五輪では「使わなくても抑えられた」と投げなかった。

 金メダルの余韻に浸る間もなく、8月上旬には練習を再開。ビックカメラ高崎での日本リーグ3連覇に照準を定めた。チームへの貢献だけでなく、五輪で再燃したソフトボール人気を今度こそ定着させたい思いがある。

 「今は一番注目してくれるタイミング。チャンスをつかまないといけない。必死な思いで取り組んでいる姿から何かを感じてもらえれば。雰囲気や表情一つで印象は変わる。そういったところも大切にしたい」

 北京五輪後には上野を一目見ようとフィーバー状態になったが、年が明けると一気に沈静化した。当時の苦い教訓が、ベテランを突き動かす。

 「正解は分からないけど、(五輪の記憶を)少しでも色あせさせないために、メディアへの露出やスポーツ教室などを増やして『ソフトボール』というワードを消さないようにしたい。今は緊急事態宣言が出ているけど、いつか母校(福岡大若葉高)にも凱旋(がいせん)できたら」

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