甲子園で聞こえた本音「勝ちたかったけど、これ以上、この日々が続くかと思うと…」球児のため今こそ大改革を

西日本スポーツ 前田 泰子

【記者コラム】

 「智弁対決」が話題となって幕を閉じた今年の甲子園。優勝を決めて晴れがましい笑顔を見せる智弁和歌山の選手たちを見て、ちょっぴり切なくなった。初戦で戦うはずだった宮崎商の選手たちはどんな気持ちでこの優勝を見つめているのだろうか、と。13人の新型コロナウイルス陽性と8人の濃厚接触が確認された宮崎商は出場を辞退し、103回目を迎えた大会で初の不戦敗に。「優勝校とどんな戦いができただろうか」と考えただけでも悔しいだろう。

 コロナ禍と長雨。出場校は二つの敵と戦わなくてはならなかった。宿舎の従業員から陽性者が出て「引っ越し」を強いられたチームもあった。「勝ちたかったですけどね。でもこれ以上、この日々が続くかと思うと…」。初戦敗退したチームの関係者がもらした言葉は本音だと思う。

 特に宮崎商と東北学院(宮城)、2校が辞退してからは各校とも感染防止対策により神経をすり減らしていたと思う。大会主催者がまとめた感染防止のガイドラインで土の持ち帰りを控えるよう求められ、例年のように泣きながら土をかき集める光景はなく、どこかサバサバとした顔で球場を後にした選手たちを見ると、気苦労がうかがい知れる。参加校に文書を回し「ガイドラインに沿って」と一貫して繰り返した大会主催者とは温度差があるようにも見えた。

 コロナ禍はいつまで続くかわからない。ゲリラ豪雨が頻発し、天候でも高校野球を取り巻く環境は大きく変化している。今年の状況を見ると大きな改革が必要な時だと感じた。例えば得点差によるコールドのない甲子園で各校の初戦に限り、コールドが成立するようにして1日5試合にする。使用球場も全チームの初戦を甲子園で行い、以降は複数球場で同日に開催。国立競技場の高校サッカーのように準決勝から甲子園に帰ってくるようにするなどすれば日程にも余裕が出て休養日を設けることができるのではないか。

 今までの甲子園で「非常識」と思われたことも、丁寧に根本的に見直すことが必要だと思う。タイブレーク制の導入、週500球の球数制限など少しずつ改革は行われている。日本高野連は、降雨などで試合が成立しなかった場合、再試合ではなく中断した回から始める「継続試合」を検討する意向も示している。

 大会運営ありきではなく、選手やチームのことを考えた改革であってほしい。費用や日程などさまざまな制約はある。だけど「非常識」を「常識」とする決断を期待したい。高校野球がこれから100年、さらに何年も愛されるためにも。(前田泰子)

PR

高校野球 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング