リチャードの背中を押したバレンティン おごった焼肉と伝えたメッセージ

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク11-4オリックス(4日、ペイペイドーム)

 育成出身の22歳が待ち望んだ瞬間だった。7回2死一塁。リチャードの打球は快音を残して中前で弾んだ。張奕の153キロ直球を捉えた一打は、通算2試合、7打席目でのプロ初安打。「本当のスタート。『やっと始まったな』って感じ」と笑顔をはじけさせた。

 記念の1本だけではない。1点を追う5回無死一塁では四球で出塁。甲斐の中前打で二塁から激走して逆転のホームを陥れた。ヘッドスライディングでのプロ初得点が大量得点につながり、工藤監督も「リチャードの一番の仕事はあの四球」と拍手を送った。

 プロ初出場した2日の楽天戦は3打数無安打。「心臓の音がはっきり聞こえた。打席の内容も全く覚えていない」。この日は2回の二飛の後、小久保ヘッドコーチの「気持ちは分かるけど、欲しがるなよ。俺なんて(初安打は)9打席目だったんだから」という言葉で肩の力が抜けた。

 4年目の今季は五輪期間中のエキシビションマッチに全て4番で出場。2本塁打、9打点と活躍したが、後半戦は2軍スタートだった。「正直、モチベーションはガクッときたけど、いろんな人に『まだ物足りないってことだよ』と言われて火がついた」と笑う。

 明るい性格の「愛されキャラ」は、人一倍の努力家でもある。打撃を参考にするグラシアルバレンティンらとは基本的に英語で会話を交わしているが、コミュニケーションをより深めるため独学でスペイン語の勉強も始めた。食事の時間なども含めて、あらゆる機会を通じて学んでいる。

 バレンティンに焼き肉店で高額な食事代を出してもらった際には「リチャも8年後には払えるようになるよ」という言葉に「8年は遅い、遅ーい!!」と応じた。NPB通算301本塁打を誇るスラッガーに「『(ビッグ)マウス!』っていじられました」と笑うが、恩返しへの一歩も踏み出した形だ。

 熱血指導を続けてきた王球団会長も「良かったね。これから、これから」と満面の笑みで球場を後にした。「この状況で(1軍に)上がってきている。勝ちにつながる存在にならないと」。期待の大砲候補生が逆転優勝へのカンフル剤となる。(長浜幸治)

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