レンズ越しに見た東京パラリンピック 現地取材の写真記者が振り返る名場面

西日本スポーツ 帖地 洸平

 史上最多となる約4400人の選手が参加した東京パラリンピックが5日、閉幕した。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下、無観客開催という異例ずくめの13日間の熱戦の取材を終えて今、改めて思い起こすシーンがある。母国の政情不安に揺れる中、参加にこぎ着けた選手たちの勇姿だ。

 8月24日、国立競技場。開会式の選手団入場のとき、国旗のみが日本人ボランティアの手によって行進した国があった。アフガニスタンだ。政権崩壊のため、当初は参加断念とも言われたが、関係各国の支援を受け、陸上男子のホサイン・ラスーリ(26)と、テコンドー女子のザキア・フダダディ(22)が、避難先のパリを経由して来日し、大会に参加した。

 同国選手団長のアリアン・サディキ氏は「平和的共存が人類にとって最善というメッセージを伝えることができる」とのコメントを寄せた。9月5日の閉会式では両選手が旗手を務め、国旗を静かに見つめる姿に温かい拍手が送られた。

   ◆    ◆

 2016年リオデジャネイロ大会に続いて2回目の結成となったパラリンピック難民選手団は6人編成。競泳会場の東京アクアティクスセンターで、レンズ越しに見つめたのは、アフガニスタン出身で生まれつき両腕のないアッバス・カリミ(24)と、シリア内戦で右足を失ったイブラヒム・フセイン(32)だ。体全身で競技に臨む姿勢に勇気づけられる思いだった。

 大会後、先行きは見通せず不安定な生活を送る選手もいる。今大会に参加したアフガン代表2選手も母国には戻らず、フランスに向かうなど、引き続き支援が続くという。

 どれほどの危機的な状態でも、家族や祖国を思って大会に挑んだ選手たち。諦めない気持ち、覚悟、限界への挑戦-。「多様性の尊重」をうたうパラリンピック精神を垣間見るとともに、障害と共に生きる人々が置かれた現状が、少しでも向上することを願った。(帖地洸平、写真も)

PR

スポーツ アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング