工藤監督が今季限りで辞任 優勝請負人、7年の長期政権に幕

西日本スポーツ

 ソフトバンクの工藤公康監督(58)が今季限りで辞任することが9日、分かった。就任から過去6年で日本一5度。だが集大成と位置づけた今季は低迷し、きょう10日にもリーグ優勝の可能性が消滅。CS進出も極めて厳しい。手腕を高く評価する球団からは夏以降続投要請を受けたものの、責任を負い、辞退する意向を固めて申し入れた。球団は小久保裕紀ヘッドコーチ(50)の昇格や外部からの招聘(しょうへい)も含めて後任人事を急ぐ。常勝を誇ったホークスが一つの区切りを迎えた。

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 球史に名を刻む名将が、7年の長期政権に幕を下ろす決意を固めた。就任1年目でのリーグ優勝、日本一を皮切りに、昨季まで6年間は全て2位以上で日本一を5度達成。だが2年契約最終年の今季は8年ぶりのBクラスが現実味を帯びてきた状況で、常勝軍団を率いてきた将として自らけじめをつけ、辞意を球団に伝えた。

 リーグ連覇と5年連続日本一を目指した今季は、かつてない苦しい戦いを強いられた。先発、救援とも軸になる投手が長期離脱。特に最大の武器だったモイネロと森を欠く期間が長く、昨季まで盤石だった終盤の強さを発揮できなかった。打線でも主軸のグラシアルが故障で5月から不在。常勝時代を支えた主力がこぞって不振を極め、昨季盗塁王の周東も力を発揮できないまま離脱するなど、慢性的な得点力不足に陥った。

 球団はチームの苦境も理解している。世代交代の過渡期でもあり、昨季までの実績から工藤監督の手腕を高く評価し、現体制で立て直しを図る方針だった。夏場以降、複数回にわたり来季続投を要請。工藤監督も球団サイドの熱意を十分に受け止めていた。

 一方で昨季4年連続の日本一達成後、工藤監督は7年目の今季を集大成と位置づけて臨んでいた。常々「ホークスは勝ち続けなければいけないチーム」と、自らへの叱咤(しった)も込めて口にしてきた。何より現状でBクラスに沈む責任も重く受け止め、続投要請を正式に辞退した。

 秋山幸二前監督の辞任を受け、指導者経験のないまま2014年オフに就任。当時は筑波大大学院でスポーツ医学を学んでいた。休学してのホークス復帰は「王会長でなかったら受けていなかった」という決断だった。

 野手出身の秋山前監督に対し投手出身。孫正義オーナーから「いよいよ投手王国を」と期待を込めてタクトを託された。チーム防御率は過去6年でリーグトップ4度。今季も9日現在で1位だ。プロで実働29年プレーして47歳までマウンドに立ち続けた監督は、故障防止を重んじ、独自のトレーニング理論も導入。投手育成のシステムを構築するなど功績は大きい。

 球団は今季就任した小久保ヘッドコーチの昇格や外部招聘も含めて後任人事を急ピッチで進める。リーグ連覇の可能性は完全消滅目前だが、逆転CS進出の可能性は残っている。優勝請負人は「最後の1アウト」まで全力でタクトを振る。

 ◆工藤公康(くどう・きみやす)1963年5月5日生まれ。愛知県出身。名古屋電気高(現愛工大名電高)から82年に西武入団。球界を代表する左腕として西武、ダイエー(現ソフトバンク)、巨人などで活躍。95年にFA移籍したダイエーでは、99年に最優秀防御率、最優秀選手を獲得して福岡移転後初の日本一に貢献した。2011年限りで現役引退を表明。通算224勝142敗3セーブ、防御率3・45。最優秀選手2度、最優秀防御率4度、最高勝率4度、最多奪三振2度。16年に野球殿堂入り。正力賞5度は最多。

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