早稲田佐賀ラグビー部、いざ初の公式戦 ヒガシにワセダ、社会人でも主将務めた新人監督が第一歩

西日本スポーツ 鬼塚 淳乃介 大窪 正一

 栄光も辛酸も味わったラガーマンが指導者としての第一歩を踏む。4月に創部した早稲田佐賀高ラグビー部(佐賀県唐津市)を率いる山下昂大監督(31)。全国初制覇を経験した東福岡高、早大、社会人のコカ・コーラで主将の肩書を背負い続けた男は17日、「第101回全国高校ラグビー大会佐賀県予選」で公式戦デビューを飾るチームの初采配を振る。

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 デビュー戦の鳥栖工戦は相手校との兼ね合いで白色が基調のセカンドジャージーで挑む。勝利すれば、次戦で早大と同モデルの「赤黒」ジャージーに袖を通せる。山下監督は「一つのモチベーションにはなるはず。でも僕の方がテンションが上がりそう」と初陣を心待ちにする。

 2007年度に東福岡高が全国大会初制覇した当時のカリスマ主将。早大、社会人でもコカ・コーラで主将を経験した。トップレベルでの選手生活から指導者への転身。「教えていてもどかしさを感じることもある」と難しさを日々痛感する。

 30歳を現役生活のゴールラインに設定。「指導者になりたい気持ちが現役を続けたい気持ちを上回った」と転機を振り返る。監督打診を受けた直後に母校ヒガシからもコーチの話が届いたが、選んだのはゼロからのスタートだった。

 早稲田佐賀ラグビー部は強化指定部ではなく、入部した約半数が初心者。それが逆に魅力に感じたという。個の能力では劣る分、いかに組織力で立ち向かって勝利するか。「それが楽しみ。醍醐味(だいごみ)です」。自由奔放に楽しんだ高校時代、早大では勝利を追求して戦術や戦略を細かく学んだ。コカ・コーラでの現役生活終盤はチームが低迷し悔しさも味わった。自らの経験を全て落とし込むつもりだ。

 ヒガシでは当時コーチだった藤田雄一郎現監督が毎日トイレ掃除をする姿が目に焼き付いているという。山下監督もグラウンドのトイレを毎日掃除して背中で示し続ける。選手としてのパフォーマンス以前にすぐれた人間性を発揮することを期待するからだ。

 今春には早大卒業後から19年度の引退まで所属した社会人のコカ・コーラが年内限りでの廃部を発表。ショックは大きかったが「僕が大好きなチームには変わりない。(チームの)魂というか、思いはあり続ける」とその「DNA」を早稲田佐賀にも植え付けた。

 ラグビー部の理念として掲げた「姿勢と行動で目の前の人に勇気と喜びを与える」は、コカ・コーラの部訓「良きラガーマンの前に良き社会人たれ」がベースになっている。当時のチームメートが練習に参加してくれるなど今も交流は続く。

 自らを形づくってくれた周囲への感謝の思いも胸に初の指揮に挑む。(鬼塚淳乃介)

 ◆山下昂大(やました・こうた)1990年1月26日、北九州市生まれ。小学生時に帆柱ヤングラガーズでラグビーを始め、中学時代はCTBで主将。東福岡高では2年までWTB、3年からナンバー8。主将も務め、2008年1月に同校初の全国高校ラグビー大会制覇。高校日本代表の主将も任された。早大では主にフランカーで出場し、主将を務めた。大学2、3年で選ばれたU20(20歳以下)日本代表でも主将。卒業後、コカ・コーラレッドスパークスに加入。2019年度で引退した。

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