アビスパ福岡J1残留「天気も当てる」魔法使い指揮官の予言が力に

西日本スポーツ 松田 達也

 ◆明治安田生命J1第32節 神戸1-0福岡(16日、ノエビアスタジアム神戸)

 アビスパ福岡のJ1残留が確定した。アウェーで神戸に0-1と敗れて勝ち点46から伸ばせなかったが、降格圏の17位湘南がサガン鳥栖と1-1で引き分けて同28、16位徳島は3-5で横浜FCに敗れて同29にとどまった。残り6試合で湘南と徳島の直接対決があるため、両チームのどちらかが福岡を上回る可能性がなくなった。2001年に初めてJ2に降格となり、05年にJ1昇格を決めて以降、5年ごとに昇格と降格を繰り返した「5年周期」に別れを告げ、J1の強豪クラブを目指す。

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 苦しんだ過去にはもう戻らない。福岡が歴史を塗り替えた。長谷部監督は「J1残留はクラブが目指していたところで、私にとって必達のノルマだった」と淡々と話した。アウェーで黒星を喫しての達成に笑顔はないが、6試合を残して大きな節目の瞬間を迎えた。

 開幕前の降格筆頭候補の下馬評を覆した。J1初采配の長谷部監督は丁寧な言葉で選手とコミュニケーションを図るだけでなく、試合を読む千里眼を兼ね備える。「この時間帯を過ぎれば相手の運動量が必ず落ちる」「相手の失点がいちばん多いのは後半○分から」。情報を伝えられた選手は、頃合いを計って攻めるタイミングや守備の意識を共有。“魔法使い”の予言に、山岸は「本当に怖いくらいにぴったり。シゲさん(監督)は天気予報も当てるから」と目を丸くした。

 予言の背景に、見えない努力があることも選手たちは知っている。アドバイスを伝える際、長谷部監督のそばには入念に対戦相手を分析したことを書き留めたノートがある。その分厚さが説得力になり、一つ一つの言葉に信頼感が伴った。

 川森社長は試合後、ロッカールームのチームの雰囲気を確認。その後、選手のオンラインによるメディア対応の映像を見ているという。「監督が試合後に伝えたことを選手がそのまま会見で話していることが多くてね。心がそろっている証拠でしょう」とほほ笑んだ。

 今季は序盤にJ1でのクラブ記録を更新する6連勝を達成。一方で、5月30日の大分戦から5連敗で東京五輪による中断を重い空気で迎えた。期間中のミーティングではスタッフが作成した6連勝中の好プレーをまとめた映像を確認。長谷部監督は「勝ち負けの繰り返しでは問題を改善できなかったかもしれない。まとめて負けたことは一つのきっかけになった」と振り返る。球際の激しさで相手を上回る“原点”を思いだし、負けなしの川崎に黒星を付けるなどJ1に旋風を起こした。

 昨季のJ1昇格に続いて、2年続けて福岡に幸せを運んできた。もっとも長谷部監督は「私にとっては通過点」と一切の感慨はない。名将が目指す到達点は、もっともっと高いところにある。(松田達也)

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