甲斐の実感「長谷川さんの生き様、気迫、気持ちが乗り移った」

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆ソフトバンク2-2日本ハム(21日、ペイペイドーム)

 ダイヤモンドを一周した後、甲斐は視線の先に偉大な先輩の姿を見つけた。もう限界だった。長谷川が現役最後の打席でつないだ7回の好機で、先制の左越え12号2ラン。「長谷川さんの生きざま、気迫、その気持ちが乗り移ったのではないかと思う。本当に気持ちで打ったというのはこういう打席のことだと思う」。ベンチに戻って涙を流す長谷川の隣に座ると、自身も目を真っ赤にはらした。

 0-0で迎えた7回2死三塁。直前には代打の長谷川が一ゴロに倒れたものの走者を三塁に進め、執念のヘッドスライディングを見せていた。ベンチに戻って悔しさをあらわにする姿を目の当たりにして、燃えないわけがなかった。

 「あの長谷川さんの姿をみて、とにかく結果で応えたいと打席に入った」

 それまでソフトバンク打線を3安打に封じていた伊藤に対し、1ボール1ストライクからの3球目、スライダーを完璧に捉えた。打った瞬間、アーチを確信。じっと打球の行方を見守った。

 シーズン12本目の本塁打は、2019、20年にマークしたシーズン自己最多11本を更新したと同時に、育成出身の選手では巨人の松原と並んで最多となった。育成選手として入団して11年目、球界を代表する捕手として新たな歴史を刻み続ける。だからこそ、チームとして苦しい戦いが続く中でも「3軍の時期も長かった。今の方がよっぽど幸せ。1軍の場所で悩むということができている」と受け止めている。

 劇的な本塁打を放ったものの、9回に追い付かれて無念のドロー。勝利に導けなかった責任も痛感している。「今日は勝つことはできませんでしたが、残り3試合、全部勝てるように戦っていきます」。全試合出場を続ける扇の要は、長谷川の見せた勝利への執念も受け継ぎながら、戦い続ける。(伊藤瀬里加)

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