警察官採用試験に落ちて王道から「無職」に 23歳が涙の剣道日本一

西日本スポーツ

 剣道の第69回全日本選手権が3日、3大会ぶりに東京・日本武道館で行われ、星子啓太4段=熊本・九州学院高出身=が2度目の出場で初優勝を果たした。林田匡平5段(福井・丸岡高教)=長崎・島原高出身=との決勝で2本の面を決めた。

 強豪の警察官勢は新型コロナウイルスの影響で前回大会を欠場したため2大会ぶりに出場。優勝経験のある国友錬太朗5段(福岡県警)=福岡舞鶴高出身=や竹ノ内佑也5段(警視庁)=福岡大大濠高出身=ら優勝候補が相次いで初戦敗退した。

   ◇   ◇

 筑波大の先輩に当たる林田との決勝。剣を交えた星子は悟った。「(得意の)小手は決まらない。腹をくくる」と一瞬早く仕掛けた飛び込み面で先取し、さらに面を決めて初優勝。「自分が一番稽古をしてきたと覚悟を持てた」と語るうちに、涙がこみ上げてきた。

 九州学院高では2、3年時に主力として高校3冠(全国選抜、玉竜旗、全国総体)をすべて制し、筑波大在学中の2018年には日本代表として世界選手権の団体優勝に貢献。剣道界の王道を歩んできたが昨秋、警察官採用試験に落ちた。

 初めての挫折に1日だけ稽古を休んで両親に電話で相談した。導き出した答えが「自分を変えるには剣道をするしかない」。今春に大学を卒業して無職となってからも後輩と剣を交えては学生よりも竹刀を振った。

 両親の仕送りだけに頼らないようアルバイトも始めたが、知人の紹介で子どもたちに個人レッスンをするなど剣道と向き合う生活を貫いた23歳。筑波大の鍋山隆弘・男子監督は「レベルが高いと気持ちが動揺すると打たれる。気持ちをつくるには稽古しかなく、彼の取り組む姿勢は素晴らしかった」とたたえた。

 今回はコロナ禍の影響で強豪の警察官勢が1年以上本格的に稽古できず、調子を欠いていた。「来年は厳しくなると思うけど、優勝できた経験を生かす」と意気込む星子は、今も目指している警察官として連覇を果たすつもりだ。(末継智章)

PR

剣道 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング