相次ぐ卒業、波乱の節目 「次の10年」の航海、HKT48は何を夢見るのか

西日本スポーツ 古川 泰裕

 26日に活動開始10周年を迎えるHKT48。12月1日発売の2ndアルバム「アウトスタンディング」の詳細も発表されるなど、その歩みを加速させる一方で、節目を前に若手メンバーの卒業発表が相次ぎ、衝撃も走った。「次の10年」を見据え、今、グループに何が必要なのか考えた。

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 「お互い、年を重ねましたな」

 聞き手を務めた10周年記念サイトの加入期ごとのインタビュー企画で、最後を締めくくった1期生の取材はそんなあいさつから始まった。

 記者「10年も取材しているなんておかしいよね」

 村重杏奈「確かに…」

 本村碧唯「確かにじゃないのよ(笑)」

 長い付き合いの1期生には、本当に話したいことを話してもらおうと自由に語り合ってもらった。「カフェにおるんか」とメンバーがツッコミを入れるほど。私自身、ここまで取材を続けるとは想像していなかったし、ほとんどの1期生もアイドルを続けているとは思っていなかったようだ。下野由貴だけは加入時の年齢が13歳だったことから「10年目もいけるわ」と思っていたそうで、「らしさ」に笑ってしまった。

 HKTは26、27日の2日間、10周年記念特別公演を開く。会場は新型コロナウイルス対策で人数制限が設けられた「西日本シティ銀行 HKT48劇場」。それは、おそらく多くのファンやメンバーにとって「未来予想図」通りの10周年の姿ではなかっただろう。

 AKB48をはじめ、SKE48、NMB48の先輩グループはいずれも節目で華々しくコンサートを開催してきた。ステージには礎を築いたOGが集結し、次世代を担う若手たちも躍動。グループの歴史と未来を感じる時間となった。

 HKTの記念公演も歴代のシングル曲と公演曲を披露し、その歴史を振り返る。リハーサルに臨んだメンバーの反応を見る限り非常にエモーショナルな内容になりそうだ。

 だが、「10周年って、こんな感じだったっけ…」と、ある古株メンバーがぽつりと漏らした一言と、会員制交流サイト(SNS)で見かけたファンのつぶやきがほぼ同じだったのは偶然だろうか。

新型コロナ…大規模会場を断念

 「これで10周年は劇場かな…」。複数のメンバーが相次いで新型コロナに感染したこの夏、関係者の一人が肩を落とした。1年以上前から記念日を華々しく祝おうと準備を重ねてきたが、大規模な会場でのコンサートなどの計画が消えた。感染は不可抗力とはいえ、その声からは無念さが伝わってきた。

 さらに9月以降、1期生・村重杏奈を筆頭に4期生の清水梨央、5期生の上島楓が相次いで卒業を発表した。それぞれのメンバーにとって人生を懸けた選択であり、時期は問題ではない。ただ、次代の柱として期待された若手の決断もあったため、実情はそうでなくとも、暗い雰囲気が漂うように見えてしまうこともある。10周年という「お祭り」を額面通りに楽しむことのできない空気が一部で確かに存在している。

もう一度、全国に名前を

 27日、10周年記念特別公演の2日目から、「次の10年」に向かった航海が始まる。メンバーにもファンにも、それぞれの「温度」はあるのだろうが、長年取材を続けた記者として思うのは「HKT48はどこへ向かうのか」ということだ。グループがメンバー一人一人の具体的な夢の実現に関わっていくことは重要だが、HKT48というグループの目的地を示した海図が必要なのではないか。

 今回の10周年記念インタビューで、ドラフト3期生がHKTを知ったきっかけとして挙げたのが全国ネットのテレビ番組で見た「なこみく」(矢吹奈子田中美久)やシングル「桜、みんなで食べた」だった。地元に基盤を置きながら、もう一度、HKTの名前を全国に広めていくことも必要かもしれない。

 「10周年までは」という思いで在籍し続け、そこを決断の基点にしようと考えているメンバーも少なくないかもしれない。HKTは3、4期生を中心とした態勢にシフトしているが、今後は5期研究生の昇格や6期生の募集も視野に入ってくるだろう。

 走り始めた当初は、勢いのままにさまざまな夢を見た。長い歳月を経た今、同じように夢を語ることは難しいのかもしれない。だが、積み重ねた日々があるからこそ見えてくる夢も、まだまだ届いていない夢もあるはずだ。「新たな10年」、HKT48は何を夢見るのか。 (古川泰裕)

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